首都圏を代表する緑豊かな自然が残る生田緑地(川崎市多摩区)のビジターセンターを周辺環境に調和させるため、県産木材を活用して以来、「木の暖かみ」を伝え、生かす提案を続けてきた。その中で、木造園舎に対する保育園の思いを受け、「すぎのこ保育園」の設計を担当。施設はことし2月、麻生区岡上に完成した。
設計に当たって、上原建築設計事務所(川崎市川崎区)の上原伸一代表は、柱・梁、木質感のある空間を生かした子どもたちの「昼間の家づくり」をコンセプトにしたと言う。
園舎の保育室、居間(ホール)、食堂(ランチルーム)などを大きなスケールの「家」ととらえ、「半円形にホールに突き出す事務室は、玄関からホール、保育室までを見渡せる開放性とともに、常に大人の目が届き、子どもたちからも大人が見える安心感を生み出す」ことを意図した。壁の高さも子どものアイラインを意識して設定している。
そして「はだしで生活する子どもたちに気持ちよく使ってもらえるように」と1階の床は夜間電力を活用した蓄熱式暖房を設置。根太間に蓄熱材を敷き、表面温度が低温で、朝から1日中放熱を続けるようにプログラムした。
2階に設置した2-5歳の保育室は、コルクタイルの床で防音性を高め、各室は引き戸で間仕切り、全体を1室に使えるフレキシブルな空間とするとともに、間仕切りの上部に木の大梁が走るダイナミックな空間をつくりだした。
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