有明アリーナの完成予想 |
夢の島プラザアリーナの完成予想 |
◇建設産業との協力関係
ある都幹部は「事業推進のパートナーとなる建設産業との協力体制が不可欠」と強調する一方で、発注者と受注者双方を含めた建設産業界の体力そのものへの不安も口にする。
特に「業界自体のパイが小さくなっている中で効率的に事業推進を図る新たな仕組みが必要になる」と説く。
前回、1964年東京オリンピックの際は、東京開催の決定が59年5月。その5カ月後の10月に「オリンピック準備事務局」が設置された。準備組織の設置から大会の開催まで約5年という期間だった。
今回は開催まで約7年。期間的には前回よりも多少の余裕があるが、オリンピックの開催を契機に都市づくりそのものを進めた当時と現在とでは状況が大きく異なる。
実際に、前回の東京オリンピックが開催された64年の都内の自動車保有台数は約38万台しかなかった。それが現在の自動車保有台数は約510万台。社会状況や都市構造が大きく変化している中で、インフラ整備にも多くの視点と複雑な調整が必要になっていると指摘する。
◇工事調整も課題
工事ひとつをとっても、道路管理者に加え、上下水道や電気、ガスといったライフライン事業者、交通管理者など綿密な工事調整が必要だ。
管理技術者など専任人材の不足が顕在化する中で、「被災地の復興と両輪で進めていくには、道路工事や水道、下水道工事など(同一のエリアで行う)さまざまな工事を一人の管理技術者でやれるような仕組みが必要。特に大規模な工事では(異業種での)コンソーシアムのような枠組みも必要になるのではないか」と訴える声もある。
また、都では、一定金額を超える場合、起工局が契約業務の中心を担う財務局に執行委任する。工事は1億5000万円以上、設計など委託は1000万円以上が財務局契約となるが、「起工部局から財務局への執行委任は段階を踏むため、契約までに時間がかかりすぎる」との声も。
「局あるいは事務所で契約できる金額を今の2倍、3倍くらいまで上げる必要もあるのでは」といった声も聞かれている。
◇『オリンピック準備事務局』
今後、都は前回でいうところの『オリンピック準備事務局』のような局横断的な専門組織を設置することになるだろうが、かつての取り組みを単純に参考にすればいいというわけではないのが実態だ。
当面は、局長級の技術職員が一堂に会する『東京都技術会議』が事業推進の方向性を定める重要な検討組織になることも予想される。
新規9施設含め
37会場を整備
競技会場などの施設整備は、計37会場(既存15、計画2、新規9、仮設11)。建設工事費は総額4554億円を見込む。
◇新国立競技場は1300億
メーンスタジアムとして改築する国立競技場の整備費には約1300億円を投入する。国際デザインコンペで選ばれた建築家のザハ・ハディド氏のデザイン案を採用する新競技場の規模は、総延べ約29万㎡を想定している。
フレームワーク設計業務は日建設計・梓設計・日本設計・オーヴ・アラップ・アンド・パートナーズ・ジャパン・リミテッドJV、発注者支援業務は山下設計・山下ピー・エム・コンサルタンツ・建設技術研究所JVが担当する。設計期間は15年3月まで。同年10月に着工し、19年3月の完成を目指す。
一方、都が新規に整備する競技会場も数百億円規模のビッグプロジェクトが並ぶ。6日に再公告した武蔵野の森総合スポーツ施設を始め、364億円の事業費を見込む夢の島ユース・プラザ・アリーナや事業費321億円のオリンピックアクアティクスセンター、176億円の有明アリーナなど、建設産業界にとっての注目事業が目白押しだ。
◇設計に国際コンペ
都は、3月に開発の基本計画を策定するため、オリンピックアクアティクスセンターや有明アリーナを整備する辰巳の森海浜公園地区の施設要件等検討業務を久米設計、夢の島ユース・プラザ・アリーナを整備する夢の島公園地区は日建設計にそれぞれ委託。設計与条件や環境対策など施設要件の検討が進めるほか、設計段階での国際コンペの採用も視野に入れている。
また、民間事業者による整備を前提とする選手村は、晴海地区に整備する計画。事業費は総額1057億円を見込む。
民間の資金やノウハウを活用した事業手法や採算性の検証などの選手村開発方針検討支援業務はパシフィックコンサルタンツが担当している。9月末までに選手村として活用した後の利活用を踏まえながら、事業手法やスケジュール、発注手法や全体のコーディネートの仕組みを含めた民間事業者の公募条件を整理するとしている。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
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