2013/09/19

【新国立競技場】槇文彦氏の「問題提起文書」テーマに公開討論 来月11日

シンポの題材となる新国立競技場
新国立競技場を考えるシンポジウム実行委員会(元倉眞琴代表)は10月11日午後6時から、東京都渋谷区の建築家会館でシンポジウム「新国立競技場案を神宮外苑の歴史的文脈の中で考える」を開く。槇文彦氏が日本建築家協会(JIA)の会誌『JIA MAGAZINE』8月号(295号)で指摘した問題を受け、槇、陣内秀信、宮台真司、古市徹雄の4氏がパネリストとして意見を交わす。

 槇氏がJIA MAGAZINEに寄稿したエッセー「新国立競技場案を神宮外苑の歴史的文脈で考える」で行った問題提起は、場所の歴史と都市景観、公共建築のプログラム、コンペのあり方の3点。実行委員会では、「いずれも、今日の私たちの社会、都市、建築文化のあり方を改めて問うもの」とするとともに、古市徹雄JIA MAGAGINE編集長が槇氏に行ったインタビューで「一老建築家が、このようなエッセーを書かなければならなかったその背景にある我々の建築文化の風土について、少し皆で考えてみることができればいいと思っています」と語っているのを受け、槇氏からの問題提起をもとに議論を深めるシンポジウムが開かれることになった。
 槇氏は古市編集長からの質問に対し、「(エッセーの)一貫したメッセージはこうした場所における巨大建築を様々な角度から検証していることです。したがって一番大事なことは、この計画案はまだ計画の初期の段階のものです。しかし時間はありませんから、なるべく早い段階に、そのプログラムを根本的に見直すことだと思います」「このコンペでは、あまり敷地もひろくないところで(東京体育館の)10倍の施設をつくることは完全なミスマッチだと直感的に感じました」「国際コンペに参加することは多くの建築家にとって夢であり、ロマンなのです。…我々はそのロマンの燈火を大事に守っていきたいと思います」とも語っている。
 定員は先着200人。参加費は一般1000円、学生500円。実行委員会事務局のメールアドレスは、kokuritsu.wo.kangaeru@gmail.com。
 シンポジウム発起人は次のとおり(敬称略)。
 五十嵐太郎、伊東豊雄、乾久美子、宇野求、大野秀敏、北山恒、隈研吾、栗生明、小島一浩、小林正美、佐々木龍郎、陣内秀信、曽我部昌史、高見公雄、多羅尾直子、塚本由晴、富永譲、中沢新一、中村勉、南條洋雄、西田司、波部玲子、日色真帆、藤村龍至、古市徹雄、古谷誠章、堀啓二、松永安光、三井所清典、元倉眞琴、門内輝行、山本圭介、山本理顕、吉村靖孝。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)


Related Posts:

  • 【建築】厳かながらくつろげる 荻津郁夫事務所の「世界救世教横浜研修センター」 世界救世教いづのめ教団が横浜市港北区篠原町に建設を進めてきた世界救世教横浜研修センターが完成した。設計を担当した荻津郁夫建築設計事務所の荻津郁夫代表は、敷地条件を生かし、優しい光に包まれ、厳かな場所でありながら、わが家のようにくつろげる雰囲気を兼ね備えた空間をつくりあげている。  建設地は、高層ビルの立ち並ぶ新横浜駅の至近に残された閑静な住宅地。この環境になじませながら、シンプルな2階部分が浮かび上がるように外観に象徴性をもたせ、「駅篠原口… Read More
  • 【建築】タマホームデザインコンペ 最優秀に東京芸大の森田さん タマホームは12日、東京都千代田区の帝国ホテルで第2回タマホームデザインコンペティション2013の公開審査会を開いた。「住まいの新しいベーシック」をテーマに学生や若手建築家などから785件の応募があり、最優秀賞は東京芸大大学院修士1年の森田夏子さんの作品「物語を集めるように建てる家」が選ばれた。  森田さんの作品は、自分の同級生7人からの聞き取りを元に、それぞれの「思い出の場所」をつなぎ合わせた住宅。個別の体験が集まることで、新しい体験を生み… Read More
  • 【建築】最優秀に清水建設 東京ガスの建築環境デザインコンペ 東京ガス主催の「第27回建築環境デザインコンペティション」の公開審査会と表彰式が、東京都千代田区のホテルニューオータニで開かれ=写真、最優秀賞に大橋一智氏(清水建設)らの「棲みかへ」が選ばれた。 コンペの課題は「『設備』を可視化した建築」。海外を含め77作品の応募があり、公開審査に6作品が進んだ。 表彰式 「棲みか」は将来、空き室率の上昇が予想されるタワーマンションを改修し、機械設備依存の生活から、自然と共生した環境へつくりかえる提案… Read More
  • 【建築】最優秀に藤本壮介氏 守山市の浮気保育園 滋賀県守山市は、浮気(ふけ)保育園改築の建築基本・実施設計業務の委託者選定で公募型コンペを実施した結果、藤本壮介氏(東聖藤本壮介建築設計事務所)の作品を最優秀作品として選定した。近く契約する。同氏は周辺の環境と調和した地域交流の場を提案した。次点には竹山聖氏(設計組織アモルフ)が選ばれた。2014年3月末にも設計作業を完了し、6月議会後の着工、15年4月の供用開始を目指す。  コンペには、129者が応募した。11月24日に1次審査で選定した5… Read More
  • 【建築】ジエームス邸などが受賞 AACA賞と芦原義信賞が決定 「 ジエームス邸と周辺の景観のサスティナブルな存続 」(撮影 ㈱ナカサアンドパートナーズ 中佐 猛) 日本建築美術工芸協会(aaca)は4日、東京都港区の建築会館ホールで設立25周年記念会と第23回AACA賞・第12回芦原義信賞の表彰式を開いた=写真。AACA賞には応募28点の中から竹中工務店(中村圭祐氏)の「ジエームス邸と周辺の景観のサスティナブルな存続」(神戸市)、芦原義信賞には17点の応募があり、Aterier KIRISHITA+M… Read More

0 コメント :

コメントを投稿