東海旅客鉄道(JR東海)は18日、東京~名古屋間に整備するリニア中央新幹線の具体的な駅の位置や282㎞に及ぶ詳細なルートを明らかにした。公表した環境影響評価(アセスメント)準備書の中に明記したもので、起点となる品川駅は現在のJR品川駅(東京都港区)の地下約40mに設置する。名古屋駅は現在の東海道新幹線名古屋駅(名古屋市中村区)の地下約30mに設ける。全体の86%がトンネル構造で、都市部は大深度地下を使用する。今後、関係各地域で説明会を開くなど環境影響評価の手続きを進め、2014年度の着工を予定している。27年の完成を目指す。建設費は9兆0300億円を見込む。
中央新幹線(東京都~名古屋市間)は、南アルプスを東西に貫き、品川~名古屋間約286㎞を最速約40分で結ぶ。走行方式は、超電導磁気浮上方式で、最高設計速度は時速505㎞。構造は、地上部が40㎞、トンネル部が246㎞と全体の86%がトンネル構造となる。
トンネルは直径約13mで内空有効断面積約74㎡。都市部がシールド工法、山岳部をNATMで施工する。準備書では、南アルプスの山岳トンネルについて「糸魚川・静岡構造線および中央構造線をできる限り短い距離で通過する」など詳細に示し、都市部でも「東京都大田区から大深度地下トンネルで西方向に進み、東京都町田市東部境に至る」など、それぞれの施工方法も明記している。
始発終着駅となるのは「東京都ターミナル駅」(港区)と、「名古屋市ターミナル駅」(名古屋市中村区)。東京都駅は、東海道新幹線・品川駅直下の地下約40m、最大幅約60mに構築し、JR東日本の山手線や、横浜、羽田空港につながる京浜急行の品川駅と20分以内で乗り換えができるようにする。名古屋市駅は、地下約30m、最大幅約60mを計画している。
中間駅の具体的な場所は、「神奈川県駅」が相模原市緑区のJR橋本駅付近、「山梨県駅」が甲府市大津町付近、「長野県駅」が飯田市上郷飯沼付近、「岐阜県駅」が中津川市千旦林付近の計4カ所。
このうち神奈川が地下駅で深さ約30m、最大幅約50m、敷地としては約3.5haを想定。残る3カ所は、地上駅とし、高架で最大幅は約50m。地下駅の施工は、開削工法を予定している。
また、相模原市緑区鳥屋付近の敷地約50haに「関東車両基地」、中津川市千旦林付近の約65haに工場機能を備えた「中部車両基地」を整備する。エレベーター、階段、換気設備、消音設備を備えた非常口(都市部)は、首都圏に9カ所、中部圏に4カ所を約5㎞間隔で整備する。変電施設は10カ所を計画している。
JR東海は、27日の愛知県を皮切りに10月18日まで、東京都、神奈川、山梨、静岡、長野、岐阜の各県で、計92回にわたって準備書の説明会を開く。
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