日本建築士事務所協会連合会(三栖邦博会長)は、建築士事務所協会構成員事務所が業務に潜むリスクを正しく認識し、建築トラブルを未然に防ぶためのツールとして「実例に学ぶ 建築士事務所のトラブル予防―信頼される建築士事務所を目指して―」をまとめた。建築士法第27条の5に基づいて各建築士事務所協会が実施している苦情解決業務の中で、予防の観点から特に参考になりそうな事例や、係争事例・判例、賠償責任保険の事故事例を整理、解説している。また、作成に合わせ、都道府県建築士事務所協会ごとに研修会を開く。
苦情の実例では、▽設計▽工事監理▽報酬▽契約▽その他――の5フェーズに整理、17事例を取り上げた。設計では、設計業務の成果品の完成度と構造計算を後回しにしたことにより発生した苦情事例を説明。成果品の完成度では「建築主が依頼した工事費見積もりに対して、建築士事務所が依頼された業務内容の確認を怠ったことや、設計における成果品の内容説明が不足していたこと、また、建築主、建築士事務所双方の契約に関する認識の薄さと建築士事務所の思い込みが原因」とアドバイスしている。
係争事例・判例では、▽契約締結前の段階における業務報酬▽説明義務違反▽建築予算オーバー▽イメージギャップ▽安全性を欠く設計▽指定確認検査機関の審査ミス▽確認申請図書の記載▽著作権――に整理して説明。賠償責任保険の事故事例の中では、事故予防として(1)事前の準備に十分な時間を割く(2)パートナー選びは慎重に(3)メモ魔に徹する--を3原則として示した。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
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