2013/09/28

【BIM】建築教育にVectorworksと3Dプリンター

実際にプリントしたデータ
BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)や3Dプリンターが建築教育に使われ始めている。エーアンドエー(東京千代田区、内田和子社長)が8月に都内で開いた教育シンポジウムでは、新たな教育ツールとして活用されている状況が浮き彫りになった。
 都城工業高等専門学校建築科の中村裕文准教授は、2次元・3次元CAD「Vectorworks(ベクターワークス)」でモデリングした建築教材を、3Dプリンターで印刷している。「クロスヴォールトや6分ヴォールトなどの難しい構造も、学生が即座に理解できるようになる」からだ。ローマの神殿の柱なども3次元スキャナーの測量データを基に印刷しているという。


仮想コンペに出した避難計画
4年前から、Vectorworksで3次元モデルをつくる中学生向けの公開講座も開いている。生徒によっては2時間でマグカップをモデリングできるようになる。それを3Dプリンターで印刷すると、子どもの目は輝く。そのうち何人かは、翌年高専に入学してくる。「3Dプリンターは、建築教育のキラーコンテンツだ」と中村准教授は語る。
 東京都市大学都市生活学部の河村容治教授は、クライアントになり得る文系学生への建築教育にもBIMを活用している。学生たちはモデリングに挑戦しているうちに、「屋根、階段、天井といった平面図では見えない要素に思いが至るようになる」という。
 2012年に開催されたBIMの仮想コンペ「Build Live Chiba」に、文系学生を率いて参加した。学生たちは、Vectorworksと連動するソフト「SimTread(シムトレッド)」で人の流れをシミュレーションし、教授が教えなくてもコア部分の階段を増やすなど避難計画を見直した。こうしたコラボレーションにより、「役割の果たし方や、ものごとの進め方まで学習したようだ」と、河村教授はBIMの教育効果を確信している。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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