2012/07/20

これからは「ハイブリッド型」太陽光システムへ 設備、メーカー開発競争


設備会社やメーカーが、太陽光から「電気」エネルギーに加え「熱」を生み出すハイブリッド(複合)型のシステム開発に動き始めている。太陽光発電は、発電量が天候に左右され、いわゆる“お天気まかせ"だが、太陽熱は曇り空の下でも回収効率が高く、一般的な太陽光発電と比べて2倍以上のエネルギーが得られる。熱エネルギーを空調や温水などに再利用することで、「創エネ」と「省エネ」を実現でき、日中に温水を使う医療施設や温浴・スポーツ施設のほか、ビニールハウスや植物工場、温水プール、積雪の多い土地の融雪などに展開できるという。

 スマートソーラーインターナショナル(本社・仙台市、富田孝司代表)が開発した太陽光発電システムは、太陽の動きに応じた追尾モジュールにより朝から夕方まで発電を維持し、電力需要に適合した出力集光技術と冷却機能で高い出力を発揮する。1日の発電量は25%アップするという。
 冷却で集めた熱を回収、貯蔵、利用することで太陽光から電気と熱のハイブリッドでエネルギー利用が可能になり、利用率は格段に高まる。特に、電気消費量の多い「熱」を、夜間の発電や空調にも利用できる。
 1000台、約3000㎡設置した場合、売電で約750万円、熱によるコスト削減効果約150万円と合わせて約900万円の経済効果があるという。宿泊施設に導入した場合、設備の購入費は約8000万円だが、約10年で投資回収可能だ。
 大成温調がスマートソーラーインターナショナルと展開する集光型太陽光発電と排熱利用給湯システムは、スマートソーラー社の製品、技術をベースに大成温調オリジナルモデルとして開発した。
 1年を通して一定の給湯供給が必要な医療施設やスポーツ施設、老人福祉施設、ホテルなどの宿泊施設に提案する。
 日比谷総合設備は、NTTファシリティーズと共同で、太陽光発電技術と太陽熱利用技術を組み合わせた太陽光ハイブリッドシステムの実証試験に着手した。太陽電池パネルの裏面に熱を回収するモジュールを搭載した。電気と熱を合わせた総合変換効率は40%を目指している。電気と給湯の需要に対応し、将来は冷熱・温水による空調も検討する。
 実証試験の結果を基に、今期末から来期前半にかけて商品化を目指すことにしている。



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