2012/07/31

震災がれきを堤防に活用中! 東北整備局の仙台湾南部海岸深沼工区

津波堆積物とコンクリート殻を混ぜ合わせた盛土材
東北地方整備局は、仙台市内の海岸復旧工事で、震災がれきを使った堤防盛土に着手した。津波堆積土砂とコンクリートがらを混ぜ合わせ、盛土材料として活用するもので、被災3県で初めて。工事コストの縮減はもとより、調達は現場周辺のため、市街地を通過するダンプ台数の削減にもつながる。さらに同市内でのがれき処理をより加速させ、最終処分場の負荷も軽減できる。


転圧の様子
震災がれきを活用するのは、仙台湾南部海岸深沼北工区と同南工区の約6㌔の海岸堤防で、津波堆積土砂約14万m3とコンクリートがら約6万m3の計20万m3を盛土材として使う。工事を発注する仙台河川国道事務所によると、仙台市内で実施する海岸堤防工事に必要な盛土材の約7割を賄えるという。
 津波堆積土砂とコンクリートがらは、仙台市のがれき処理場の一つである井土搬入場に保管しているものを使う。このうち津波堆積土砂は、スタースクリーンと呼ばれるドイツ製のふるい機にかけ、材料をほぐしながら大型のごみを選別。コンクリートがらは破砕機で細かく砕く。
 試験施工では津波堆積土砂7に対し、コンクリートがら3の割合で混合した材料をタイヤローラで転圧した結果、良好な締め固めと施工性を確認。強度定数は購入土と同等の値が確保された。
 混合された盛土材は深沼両工区の10数カ所の現場に運ばれ、標高6・2mまで締め固めながら盛られる。その後、砕石を入れて50cmのブロックで被覆。最終的には標高7・2mの海岸堤防となる。
 一部区間の工事を担当する橋本店の中須賀輝所長は「盛土材料やダンプの供給不足が懸念される中、そうした不安なく工事ができるため、われわれ建設会社にとっても大きなメリットがある。地域住民の生活を守る大切な堤防なので、1日も早く、事故のないように完成させたい」と話している。

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