2012/07/25

仙台・若林区の福祉サービス事務所が再建! 針生承一氏が設計

再建された、『白い館・まちの工房まどか』
東日本大震災で大きな被害を受けた社会福祉法人・円(毛利憲也理事長)の生涯福祉サービス事業所『まどか荒浜』が、『白い館・まちの工房まどか』として同市太白区袋原に再建された。設計は針生承一建築研究所、施工は阿部和工務店が担当した。

 同市若林区荒浜の沿岸部にあった既存施設が津波で壊滅的な被害を受け、安全な場所への移築を検討し、既存施設を設計した針生承一建築研究所に新施設の設計を依頼。1月に着工した。復旧・復興に伴う資材価格の高騰や職人不足などの困難を関係機関からの支援を受けて乗り越え、21日に待望の再建祝賀会を迎えた。
 規模は木造平屋建て744㎡。定員は40人で、障害者の就労移行支援や共同販売事業などを行う。建物内部はベーカリーカフェやミュージアムショップ、まゆ細工を加工・販売するデザインスタジオ、アートギャラリーで構成する。内部は各機能が緩やかにつながるシームレスな空間で、芝生広場とウッドデッキで周囲に開かれた開放的な建物を目指した。内装には丸森町産の木材や、地域の伝統工芸でもある柳生和紙を使った壁紙など、地域産材を積極的に活用した設計となっている。
 中村正利施設長は「これまでの福祉施設は外部から守る“城"というイメージだったが、地域と暮らし、地域に生かされるすばらしい施設が完成した」と針生承一氏らに謝辞を述べた。

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