BIMを活用して建設が進む青山大林ビル |
BIMで制作したデジタルモックアップ |
同じ個所の実物 |
そのデザインパートナーらとの現場での協議で大きな役割を果たしたのが、BIMデータを活用したデジタルモックアップだ。森田所長は「外装のサッシは、メーカー側が実物の断面を入力しているので、従来のモックアップに比べて非常に細かな部分まで再現できる」とし、「このデジタルモックアップを使って、デザインパートナーと合意形成できたのは大きな成果の一つ」と笑みをこぼす。
◇統合モデルで職人と打ち合わせ
東西面と南面の外装には、同社が開発した制震技術「フラマスダンパーシステム」が採用された。このシステムは、外装材を制震装置の“おもり"に利用し、制震ゴムを介して連結された建物構造体とファサード全体の異なる動きによって地震の揺れを吸収する仕組み。
施工手順が複雑な上、使用する材料もメーカーが異なるため、「従来であれば、いろんな図面を見比べながら施工手順を検討しなければならなかったが、外装、構造、設備、内装の3次元モデルデータを組み合わせた統合モデルが施工手順などの検討に役立った」と振り返る。現在、東西面はフラマスダンパーの鋼製フレームにサッシ、南面はPCフレームをそれぞれ取り付けている段階で、「何か困ったことが発生したら、各メーカーの職人を呼び集め、統合モデルを見ながら、話し合っており、お互いの理解が深まる」と話す。
◇低炭素型「クリーンクリート」初適用
最も手応えを感じた最先端技術を問うと、地下躯体に使用した「クリーンクリート」ときっぱり。一般的なコンクリートに比べてCO2を最大80%程度低減する低炭素型コンクリートで、この現場への適用が初めて。「粘性が高いため、打設が難しかった」としながらも、「環境に大きく寄与するのは間違いないため、難しさは単なる言い訳と考え、打設に取り組んだ」と強調する。
その打設に当たっても、BIMを活用。型枠の中をモデル化し、コンクリート圧送管の設置個所を入念に事前検討した。「クリーンクリートを使ったからコンクリート肌の悪いところが多かったという言い訳もしたくなかった」とも。このため、ジャンカの深さごとに対処方法を事前に決め、それに応じた処理を繰り返した。最初の試みだったということもあり、「打設の記録も詳細に報告書として残している」という。
大林組は、5年以内に設計施工案件の8割でBIMデータを活用する方針を打ち出しており、この現場は、その試金石となる。表参道の新たなランドマークは2013年3月末に誕生する。
▽件名=(仮称)青山大林ビル新築工事
▽発注者=大林不動産
▽設計施工=大林組
▽工期=2011年4月1日-13年3月31日
▽規模=S一部SRC造地下2階地上9階建て塔屋1層延べ1万3,926㎡
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