2012/07/21

壊滅から復活! 太平洋セメント大船渡工場が完全復旧

大船渡工場のガレキの除塩・脱水装置
 東日本大震災で甚大な被害を受けた太平洋セメントの大船渡工場(岩手県大船渡市)が完全復旧し、7月11日に大船渡プラザホテルで復旧記念式典が開かれた。大船渡工場は、大津波で場内にがれきが流入。原燃料には海水が浸水し、製品は固結、地下施設には汚泥が流入し、電気・機械設備も機能を停止するなど壊滅的な被害を受けた。

 その後、施設・設備の復旧を懸命に進め、鉄塔の再建と特別高圧電力の復電により、2台のキルンのうち、高台にあり被害が比較的軽微だった5号キルンで、昨年6月からがれきの焼却を開始。同11月にはセメントの生産を再開した。
 さらに、被害の大きかった1号キルンでもことし1月からがれき焼却を開始。6月28日にセメント生産を再開したことで震災前の生産体制に復旧した。
 式典では福田修二社長が、出席した関係者に謝意を表しつつ「全国からの温かい支援に報いるには大船渡工場を完全復旧させることだ。東北地方の復旧・復興に欠かせないセメントを安定供給していくとともに、全社の英知を絞ってがれき処理をさらに推進していく」と決意を述べ、安藤國弘工場長も「災害廃棄物のセメント資源化を極限まで実行し、被災地の復興に貢献することが大船渡工場の社会的使命だ」と力強く語った。
 同工場では、2011年度に8・5万tの災害廃棄物を処理。14年3月までに約80万tを処理する計画だ。

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