2012/07/09

既存オフィスビルがダブルスキン構造に 日本板硝子環境アメニティ

改修されたデバイスの社屋
 日本板硝子環境アメニティ(東京都港区)はデバイス(水戸市)と提携し、既存オフィスをガラスで覆い、ダブルスキン構造の環境オフィスに改修する事業に乗り出す。実証プロジェクトとしてデバイス本社ビルに試行導入しており、運用時のCO2排出量は改修前に比べ7割の削減効果を確認済み。ダブルスキンの空気循環を最大限に発揮できる中小規模のオフィスをターゲットに年間10億円規模の売り上げを目指す。

 デバイス本社ビルはS造2階建て延べ約150㎡。外壁の周囲をガラスで覆い、ダブルスキン構造を形成し、空気の流れをコントロールすることで年間を通じ最小限の空調エネルギーで室内温度を快適な状態に保つ。ガラス専門工事会社でもあるデバイスが茨城大工学部都市システム工学科と共同で、自らの技術ノウハウを投入した。改修後2年が経過し、導入効果も数字として表れている。
 夏(外気温度34度)はダブルスキンのエアフローとブラインドの日射コントロールによって室内温度を25度程度まで引き下げ、冬(同5度)にはダブルスキン内の空気循環で暖房効率を向上させることで室内を20度程度に保てる結果を得た。2011年の運用ではCO2排出量が改修前に比べ71・8%減となり、屋上に設置した太陽光発電システムの活用も含めると、削減幅は9割近くに達した。
ダブルスキン構造のメリット
 両社は実証プロジェクトを足がかりに営業を本格的にスタートさせる。日本板硝子環境アメニティが営業と施工(実施設計含む)を担当、デバイスが基本設計と技術協力を担う。ダブルスキン構造の建築は増えているものの、年間を通し空気循環の効果を最大限に発揮するには、大規模や高層の建物では効果が薄くなるため、中小規模の低層オフィスや店舗を営業ターゲットに置いている。
 10年から環境改善事業に力を入れ始めた日本板硝子環境アメニティは、既存オフィスのダブルスキン改修を事業の柱に位置付け、3年後に年間10億円規模の売り上げを目指す。
 店舗を対象に大型ガラススクリーン部分を内側からダブルスキン化する「インナー・ガラススキンシステム」も開発し、部分改修の営業メニューも拡充した。

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