2012/07/20

国分寺駅北口再開発 幾多の困難乗り越え着工へ


国分寺駅北口地区第一種市街地再開発事業の
完成予想

 都市計画決定から20年余。東京都国分寺市の施行による国分寺駅北口地区第一種市街地再開発事業が着工に向けた準備作業の最終段階に入る。12月をめどに特定建築者の公募を開始、今年度内の権利変換計画認可を経て2013年度には既存建物の解体に着手する。再開発ビルの着工は15年度を予定。順調にいけば17年度には同市の中心市街地に新たなランドマークが誕生する。




地区の現況
◇特建者制度活用し市の財政負担軽減

 国分寺駅は多くの市民が利用する交通の結節点であり、北口周辺は市の中心市街地として発展してきた。一方で人口や駅利用者の増加に対して道路や駅前広場の整備が遅れており、市は1965年に駅北口駅前交通広場(面積約4950㎡)を都市計画決定。74年策定の市基本構想でも駅周辺のまちづくりを重点事業の一つに位置付け、地域住民との話し合いを始めた。81年に再開発事業の基礎調査(B調査)を作成。90年3月には再開発事業の都市計画を決定した。
 当初の計画では業務・商業主体の複合ビルを想定していたが、バブル経済の崩壊に伴う商業市況の低迷や地価の急落により事業が停滞。2000年には複数あった地元組織を統合して再開発協議会が発足、03年に事業計画の策定までこぎつけたが、市の税収が急激に落ち込んだことで再び事業の進展が困難となった。

◇「開発効果を周辺へ」事業計画全面見直し

 その後、再開発による事業効果を周辺地域にも波及させるべきとの声が地元から挙がり、駅周辺地区まちづくり構想の検討と連携して駅前広場の位置変更など、人の流れをつくる観点から再開発事業の施設計画を全面的に見直し、08年3月に都市計画を変更。
 具体的には、駅前に店舗、公益施設、業務施設、駐車場からなる西街区と、住宅、店舗、駐車場で構成する東街区を整備し、両街区の前面にバス・タクシー用のロータリーなどを設けた交通広場を配置する計画とした。

◇生活拠点形成へ/複合機能持たせ再編

 しかし、リーマンショックなど、その後の世界的な経済不況の影響により、店舗区域のテナント誘致が困難となったため、施設計画を改めて見直し、多様な機能が複合した生活拠点として、西街区に住宅機能を追加するとした都市計画の変更をことし2月に告示。また前後して市の新たな顔にふさわしい広場づくりを目指し「交通広場修景ワークショップ」を08年に開催した。国分寺らしさを広場で表現する方法について広く市民の意見や要望を募り、計画に反映させた。
 4月に告示した事業計画の変更による現在の施設計画は、地下1階から3階を店舗、4階を業務、5階を図書館やホールなどの公益施設、6階以上を住宅とする、RC造地下3階地上32階建て延べ約5万5200㎡規模の西街区ビルと、低層階を店舗、4階以上を住宅とする同造地下2階地上31階建て延べ約3万5600㎡規模の東街区ビルの2棟の建物を建設する。基本設計は梓設計で担当した。
 また、西街区ビルに駅南北自由通路と交通広場を結ぶ立体通路も配置。交通広場には国分寺崖線や武蔵野を感じる植栽、水の施設、休憩スポットや交流スペース、展示スペースなどを整備する。
 市は全体事業費が約646億円に上る大規模事業の財政負担を軽減するため、特定建築者制度を活用。施設建築物の実施設計と施工、保留床処分を特建者が担う。
 昨年6月に特建者応募希望者を公募し、住友商事、野村不動産グループ(代表事業者・野村不動産、構成員・ヤマダ電機、大林組、熊谷組)、三井不動産レジデンシャル、東京建物、住友不動産の5者を登録事業者として選定しているが、現時点ではあくまで希望者であるとし、特建者は再度公募して決める。公募時には企画提案方式を採用する考えで、資力・信用や提案内容のほか、特建者に譲渡する敷地持ち分の価格や権利床の整備費用などを評価して選定する。
 同市都市開発部国分寺駅周辺整備課では、安全・安心の確保に加え、「既存の駅周辺の商業施設では活性化は望めない。新たな発想でまちづくりを進めなければならない」と再開発の狙いを語り、地域住民との協働のもと、良好な市街地整備の実現に向け、「1日も早く完成させたい」と力を込める。

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