国土交通省東北地方整備局は、東日本大震災関連の復旧・復興工事を円滑に進めるため、複数工事の発注に対して同一テーマの技術提案を求めて一括で審査する「一括審査方式」の試行導入を検討している。提案内容を統一化することで、受発注者双方の業務負担が軽減されるほか、事業のスピードアップが期待できる。初弾として、宮城県石巻市内の築堤工事5件で試行する方針で、必要に応じて適用工事を拡大していく考えだ。
一括審査方式は、復旧・復興工事の増加に伴い、技術者・技能者不足や資材供給がひっ迫する中、入札契約手続きにおける受発注者の事務量を軽減するとともに工事の円滑化を図る観点から導入を検討している。
対象工事は、技術提案のテーマを統一化できる複数工事の発注が同時期に予定されている案件。入札参加者は提案が1つになり、発注者は一括して審査できるため、双方の業務量が軽くなる。
入札参加者は、1人の配置予定技術者で複数工事に応札可能だが、受注企業に確実な施工体制の構築を求める観点から、落札できるのは1工事のみとする。
初弾として導入を予定しているのは、▽北上川下流長面下流地区築堤工事▽同上流地区築堤工事▽同長面・釜谷地区築堤工事▽同月浜下流地区築堤工事▽同上流地区築堤工事--の5件。
右岸側の長面下流と上流、長面・釜谷の3工事、左岸側の月浜下流と上流の2工事をそれぞれ一まとめにして公告する。
例えばA社は5工事すべての入札に参加可能だが、受注できるのは右岸側1工事と左岸側1工事の最大2件。落札者に決まった時点で、残りの工事は辞退を求める。
これら5件はWTO(世界貿易機関対象)の一般競争入札として、6月29日と7月2日にそれぞれ官報掲載されたが、一括審査方式の導入に伴い、公告を取り消し、7月中に改めて公告する予定だ。
同整備局では今後、必要に応じて同様の河川築堤工事や海岸復旧工事などにも適用していく方針でいる。
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