2012/07/23

藤本壮介、平田晃久、西沢立衛の各氏らがトーク 東京都美術館の「生きるための家展」



展覧会場で開かれたトークショップ
  これからの住まい、建築が向かう先を示す展覧会「生きるための家展」が、東京都台東区の東京都美術館で始まった。オープニングトーク=写真=では、同企画展にかかわった建築家らが東日本大震災を踏まえて住まうことの意味を問い直した。自然との共生や外と内のつながりなど、これからの建築に共通した考え方のほか、その土地に生きることと住宅が密接にかかわり合っていることが、討議を通じて浮かび上がった。

 トークに参加した建築家は、自身が設計した住宅について「『茂み』に囲まれるもの」(藤本壮介氏)、「自然に近いものの中に住む」(平田晃久氏)、「ジャングルのように暗いけど生き生きした場所」(西沢立衛氏)とそれぞれの設計のポイントを挙げ、住宅に自然環境を取り込むことが共通認識となっていることが明らかになった。
 今回の展示会のためのコンペで最優秀に選ばれた山田紗子氏の「家族の生きるための家」は、伊東豊雄氏の呼び掛けにより藤本氏、平田氏が乾久美子氏とともに岩手県陸前高田市に計画している「みんなの家」と、柱の立ち方などに共通の部分がみられる。
 藤本氏は、みんなの家について「高田松原の松のような柱の密度の中に集まることが原点となる。不思議な必然性をもって立ち上がってくる建築」と、復興に向けて力強くわき上がってくるものであることを強調した。平田氏は「似ていると言われることに大きな意味があるかもしれない」と述べた。
 西沢氏は、最優秀作品について「ごつい柱をたくさん立てている。身体的につくっており、若々しい女性に似合わない迫力を感じた」と述べ、審査委員長を務めた小嶋一浩氏は「人がいる場所にどうつながりを持たせるかが大事と思う。最優秀作品は人が集まってくるような明るさを感じさせ、創造性を刺激される」と評価した。
 展覧会の会期は9月30日まで。
 期間中、7月27日、8月17日、9月23日に審査員を交えてのアーキテクトトークが予定されている。

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