2012/07/03

都営住宅設計ダンピングへ対応 東京都が2団地で提案競技を試行へ

◇9月上旬に公告

 都営住宅の建て替えに伴う基本設計業務委託で過度な低価格受注が顕在化している中、所管する東京都都市整備局は、設計ダンピング(過度な安値受注)への対応策としてプロポーザル方式の試行に踏み切る方針を明らかにした。2012年度は第2上千葉アパート(葛飾区東堀切2-411)と久我山一丁目第3団地(杉並区久我山1-362)の2団地を対象に試行する。9月上旬にも公告する見通しだ。

 同局が試行するプロポーザル方式は案件の公表から契約の締結までは約11週間を想定。通常の公募見積もり方式に比べて、約2カ月間長く選定作業に時間を割くことになる。
 具体的には公表(技術課題の提示)から参加表明の締め切りまで約2週間、参加者の技術提案書の作成期間に約3週間、提案書の審査期間に約4週間、ヒアリングから設計者の選定、契約締結まで約2週間程度を見込む。
 企業の過去の実績に加えて、業務の実施方針(業務の進め方や体制)や同局が設定する技術課題(敷地の有効利用に配慮した建築計画など)に対する提案の審査で取り組み姿勢や熱意を評価する方針。価格によらない選定方式を試行することで、1円や10円といった著しい低価格受注を防止する。
 一方で、審査する発注者側にも技術課題の設定や技術提案書の審査など、相応の人員体制や技術力が求められるため、所管する都市整備局にも「(委託者を選定する)われわれの技術力を試されている意識は当然ある」(技術管理課)という。
 同局では、11年度から試行している資格要件に配置予定技術者(管理技術者)の実績要件を盛り込む業務履行体制確認の厳格化や基本設計と実施設計の一括発注を、12年度も継続して実施。個々の案件や事業スケジュールに合わせてダンピング対策を弾力的に講じていく方針だ。
 その一方で、最低制限価格の設定や総合評価方式については、全庁的な入札契約制度に大きな転換が必要となるため、中長期的な検討課題としてみているようだ。

◇選定結果を検証

 プロポーザルの試行対象となる第2上千葉アパートの既存団地の規模は4階建て5棟75戸。
 一方の久我山一丁目第3団地は久我山1丁目アパート(3、5、8階建て4棟169戸)と母子アパート(4階建て2棟41戸)で構成している。
 団地全体を一括して発注するか、何期かに分けて発注するかなど、発注区域や建て替え規模などは検討中の段階。詳細を詰めた上で9月上旬にも公告する見通しだ。
 設計工期はともに年度内をめどにしている。
 同局では敷地形状が整形で一般的な都営住宅の建て替えとなる上千葉アパートと、敷地内に民地が一部食い込んでいるなど配置計画に技術的な工夫が求められる久我山一丁目第3団地の2団地を対象に試行することで、今年度の選定結果をもとに技術課題の設定や評価項目のバランスを検証。来年度以降の選定手法や課題、評価項目の設定につなげていく。

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