2012/07/07

宮城の“節水解消"1日も早く 県南浄化センターで水処理施設を復旧中!

県南浄化センター
 宮城県の県南浄化センターは、仙台市の一部を含む宮城県南部5市6町、約28万人分の汚水を処理していたが、東日本大震災の大津波で壊滅的な被害を受けた。
 5系列ある水処理施設のうち沈砂池ポンプ、最初沈殿池、反応タンク、最終沈殿池、塩素混和池など一連の浄化処理機能が全面的に停止。汚泥処理の濃縮施設、消化施設、脱水設備および燃料化施設もすべて機能不全に陥った。

 同施設は県中南部下水道事務所の所管だが、同事務所では県南のほか仙塩、吉田川、鳴瀬川の4つの流域下水道を担当しており、中でも被害の大きかった仙塩浄化センターの復旧に注力せざるを得なかった。そのため、被災直後の応急工事を行った後、燃料化施設部分を除いて災害査定設計書作成から本体工事の発注、監理は日本下水道事業団(JS)に委託して行っている。
 その後、復旧工事は着実に進み、5系列ある水処理施設のうち3系列目までをことし5月に復旧させた。水処理施設は工事の最盛期にはすべての開口部に設置されていた囲いも撤去され、本来の姿に近づきつつある。
 水処理施設を優先したため汚泥処理関係は多少遅れているが、「節水などによる県民の不便を1日も早く解消させる」(飯坂利弘宮城県中南部下水道事務所技術次長)ことを優先させた。現在は受入量もかなり回復してきたが、「大雨時には雨水が流入し汲み切れないため、引き続き節水に協力してほしい」(同)と呼び掛けている。
 被災時に難渋した事務所の職員の手当ても、東京都や新潟、石川、富山の3県、下水道公社などから応援職員派遣を受けて体制が整いつつある。今後も、JSや施工会社、指定管理会社など関係機関と協力しながら、7月末までの水処理施設原型復旧、2014年度内の完全復旧を目指している。

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