2013/11/15

【油圧ショベル】「壊れるまで動かしてみる」CATの耐久性検証法

キャタピラージャパンは、油圧ショベルの性能や耐久性などを検証する施設に、積極的に投資している。ショベルの開発センターとマザー工場である明石事業所(兵庫県明石市)に近い小野試験場(小野市)は1974年に運用を開始以降、拡張や設備の充実に取り組み、ことし12月には現在の2倍の広さとなる新整備棟が完成する。報道関係者に試験場を初めて公開した。

 試験場は明石事業所から車で約1時間の山中にある。竹内紀行社長は、機密保持だけでなく、「壊れるまで動かし、どうすれば壊れるのかを調べるため、24時間動かして騒音や振動が発生する」ことから、人家から離れた場所に開設したと説明する。
 ショベルの品質を高めるため、2003年に振動試験設備を新設した。ドアやカバーなど薄板板金構造物、運転室や燃料タンクなどコンポーネントの耐久性を、屋外での実施と同様の試験ができるようになった。
 09年にはエンジン・ポンプ耐久試験設備を新設。排ガス規制に対応したエンジン試験やハイブリッド油圧ショベル開発にも活用している。同年には屋外の掘削エリアを従来の3倍に拡大した。開発中のすべてのショベルを同時に掘削試験ができるほか、土質を高精度に管理することで、掘削用の固い地盤などをつくることも可能となった。
 米キャタピラーは、製品の評価・試験をするため米国イリノイ州のテクニカルセンター、中国無錫のR&Dセンター、スペインなどに試験場を持っているが、小野試験場は油圧ショベルについて最重要拠点と位置付けている。顧客のニーズの多様化で、試験内容も新たな項目が必要になることから、今後も継続的に設備投資する方針だ。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

Related Posts:

  • 【光触媒膜材】室内照明でも! 抗菌・抗ウイルス機能「ヒカリプロテクスタイル」 太陽工業は、汚れを化学的に分解・除去する酸化チタン光触媒機能を備えた膜材に、抗菌と抗ウイルス機能を持つ屋内用「ヒカリプロテクスタイル」シリーズを追加した。従来の屋外型光触媒と異なり、蛍光灯など室内照明でも効果を発揮する。インフルエンザなどの対策素材としても注目され、交通施設や医療施設、教育施設などの膜構造への活用が期待されている。  酸化チタン光触媒機能を持つ膜材は、同社が世界に先駆けて1998年に商品化した。当初は塩化ビニル系膜材に表面コ… Read More
  • 【素材NOW】「着色打放しコンクリート」をファサードに 『Praca das Artes』 「海外では外観に着色コンクリートを採用した斬新的な建築が増えてきた」と語るのは、ドイツ化学品メーカーのランクセス社で建材技術責任者を務めるルッツ・コーナート氏。ブラジルのサンパウロ中心部にある複合ビル『Praca das Artes』は打放しコンクリートを赤と茶色に着色し、あえて色むらの風合いを醸した代表事例の1つだ。 ◇色合いを醸し出す 着色コンクリートは無機酸化鉄を入れることで、黄色や黄土色、赤色や茶… Read More
  • 【素材NOW】イ草の天然畳に代わる「和紙畳おもて」 こより技法で強度を確保 日本の伝統床材「畳」の出荷量は、年々減少し続けている。現在は芯材部分の畳床(たたみどこ)が650万畳、張り替え需要を含めた畳表(たたみおもて)が1500万畳。1970年代から比べると、市場規模は3分の1にまで落ち込んだ。畳床に藁(わら)、畳表にイ(藺)草を使う天然の畳は少なくなり、別の原料を使った工学畳が市場を下支えしている。トップシェアを誇る大建工業の中西栄治畳材部部長は「市場全体が縮小しているとはいえ、伸びしろはまだ十分にある」と業績拡大… Read More
  • 【素材NOW】G7首脳陣も体感? TOTOのウォシュレットがドイツの高級ホテルに ドイツを代表するリゾート地エルマウの高級ホテル『シュロス・エルマウ』=写真。今月初めには先進7カ国(G7)首脳会議も開かれた。47室あるスイートルームは地元ミュンヘンを拠点とする建築設計事務所ヒルマー&サトラー・ウントアルブレヒトによって設計され、客室内のトイレにはTOTOのウォシュレット(温水洗浄便座)一体形タンクレス便器『ネオレスト』が採用された。  ウォシュレットの累計販売台数は2014年3月末時点で3600万台に達したが、海外ではま… Read More
  • 【コンクリートキーパー】構造物を低コスト長寿命化する 補修含浸材 老朽化に伴い補修した旭橋 多くの社会インフラを抱える国や地方自治体にとって、限られた予算と人員で今後の老朽化対策を進めるためには、予防保全型修繕への政策転換と、個々の現場を効率化する新技術の導入が求められる。ただ、維持補修技術についての情報はまだ少なく、新技術の採用に及び腰となる発注者も少なくない。こうした中で一部の先駆的な自治体が、コンクリート補修工事において、ケイ酸リチウム系とシラン系をミックスしたコンクリート含浸材の採用に踏み切って… Read More

0 コメント :

コメントを投稿