2013/11/29

【BIM】着工前にバーチャル竣工させた「加賀電子本社ビル」

東京都千代田区で建設が進められていた「加賀電子本社ビル」が完成、28日に竣工式が行われた。基本設計・監理を安井建築設計事務所、実施設計と施工を竹中工務店が担当。基本設計から実施設計、現場施工図まで一貫してBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を駆使し、本体着工時にはBIM仮想(バーチャル)で竣工させるなど、BIMのメリットをより意識し、活用した意欲的なプロジェクトだ。

 竣工式では、加賀電子の塚本勲代表取締役会長、塚本外茂久社長、山崎誠神田松永町会会長、佐野吉彦安井建築設計事務所社長、宮下正裕竹中工務店社長が玉ぐしをささげた。神事に引き続き直会(なおらい)が行われ、塚本会長が「創業の地である秋葉原の地に本社ビルを持ったということを誇りに、この新しいビルを拠点に世界で羽ばたき、このビルに恥じない業績を残していきたい」と話した。また、佐野社長が、「新本社ビルが皆さんの背中、足腰を支え、幸運と繁栄をもたらすものであってほしい」とあいさつした。
 新本社ビルは、外気導入型のダブルスキンカーテンウオール(ユニットタイプ)を採用し、熱負荷の軽減、自然換気の導入、遮音性の向上を図り、全館LED(発光ダイオード)照明、自社取り扱いの太陽光発電パネルも採用。CASBEE(建築物総合環境性能評価システム)新築Aランク評価を取得している。
 また、省資源、省廃棄物と近隣に配慮して、既存地下躯体の解体は最小限にとどめるとともにこれを生かして、高流動化処理土を用いた強固な基礎地盤を構築した。
 さらに、各階の開放的なリフレッシュコーナーや光あふれる階段ギャラリー、12階の社員用ラウンジとガーデニングが楽しめる屋上庭園など、インフォーマルなコミュニケーションスペースが随所に散りばめられているのも特徴だ。
 工事場所は千代田区神田松永町19-2。規模はS造地下1階地上12階建て塔屋1層延べ9101㎡。工期は2012年10月-13年11月。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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