2013/11/28

【建築】建築×情報×ロボットが融合する 東京電機大「未来科学プロジェクト」

学生による「スマートリビング」の実演
東京電機大学(古田勝久学長)で今年度から、建築と情報メディア、ロボット・メカトロニクスの3学科が共同する「未来科学プロジェクト」という授業が展開されている。それぞれの学科が領域とする「住」「知的」「行動」分類について、それぞれの得意技術を融合し、生活空間に昇華させるプロジェクトだ。また、今月開かれた文化祭「旭祭」では、渡邊朗子准教授を中心とする3学科の混成チームが「スマート・リビング・プロジェクト」を披露した。

 同大は2007年4月に、3学科を複合した「未来科学部」を創設、大量生産から、生活環境の創造へのシフトを目指してきた。この目標を達成するため、今年度から3年生を対象にしたPBL(プロジェクト・ベースド・ラーニング)科目として未来科学プロジェクトという授業を創設した。
北千住のTDUキャンパス


◇学科横断プロジェクト


 この授業は3年生の選択制で、学内教員と学校外のサポーター(企業、自治体、OB)などから公募したテーマについて、3学科の学生2-5人が混成チームを組織して課題解決に取り組む。
 課題は、地元足立区のまちづくりであったり、公園の利用法、子どもの学力向上など多岐にわたる。これらの課題に、日ごろは比較的交流が少ない他学科の学生が協力して取り組むことで、コミュニケーションやスケジューリング、プレゼンテーション能力が養われる。また学外の組織にとっても、インターンシップ活動や商品開発などの機会が生まれる。

◇2年生から必修でWS

 実はこのプロジェクトは、2年生段階からスタートしている。これは「未来科学キャリアワークショップ」という授業で、昨年度は未来科学部の2年生が受講した。ワークショップは、ことしから選択制でなく必修科目として開講されているのが特徴で、約400人が参加している。
 昨年度は足立区が協力、1チーム6人で「北千住を知ろう」などのテーマに取り組んだ。課題発表会には副区長も参加した。
 ことしから始まった3年生の授業は、この後続科目という位置付けで、2年生のときの学びを生かし、企業や事業体と協働した実践的な体験を目指す。

◇スマートリビング計画

 こうした学部の取り組みと同様に、マスターコースでも3学科が共同で「スマートリビングプロジェクト」を展開している。建築学科の渡邊朗子研究室、情報メディア学科の岩井将行研究室、ロボット・メカトロニクス学科の汐月哲夫教授らが中心となって、未来の住空間を実寸大で構築するものだ。
 情報メディア学科は、壁に配置された3面のプロジェクターに映し出すコンテンツと、「スマートテーブル」という透明なガラステーブルが、RFIDチップを識別する技術を担当。ロボット・メカトロニクス学科は、人を関知すると自走してくる「ロボットチェアー」や、自動で開閉する「スマート収納」を開発した。
 建築学科は、人の認識装置などの技術を、建築の観点から上手く空間に取り入れられるような総括計画と設計を担当した。
3学科が協同でプロジェクトを進めた


◇デモンストレーション

 「旭祭」では、このプロジェクトの実物を展示した。デモンストレーションでは、学生が部屋の領域に入って実演を行った。
 まず部屋に入ると、ロボット学科が担当した壁面収納が自動的に開き、続いて自走式のチェアが人の方向に走り出してくる。これは天井の魚眼カメラが人を関知して動作する。
 部屋の中央に置かれたガラステーブルに、スカイツリーの模型を置くと、テーブル上の位置に対応した壁面に、スカイツリーの情報が表示される。ほかの模型を置けば、天気や交通情報も表示する。これは情報メディア学科が担当した。
 人が部屋から退出すると、いすや収納は勝手に壁面へと戻っていく。
 渡邊准教授は「国外でも、ロボティクスやITと建築の融合への取り組みは行われている。電機大はこの分野が得意なので、継続・発展的に取り組んでいくことが大切」と話す。
 この電機大ならではといえるプロジェクト、各種の助成や科学研究費の対象ともなってきており、今後の展開が期待される。
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