2013/11/07

【危機】在庫15%切り打つ手なし!! 東北と関東で「覆工板」不足が深刻

東北、関東圏での鋼矢板、覆工板の品薄が危機的な状況になってきた。重仮設業協会(広瀬太一会長)によると、特に関東圏での覆工板が首都圏中央連絡自動車道や東京外かく環状道路、都市再開発の需要急増のため、稼働率が85%に達し、在庫率15%の2、3倍の引き合いが来ているという。稼働を終えた覆工板を回収して供給するためには再塗装・溶接など加工が必要で「とても追いつけない」状態。このまま推移すれば同協会では「供給責任が果たせなくなる」と危機感を募らせている。今後、国土交通省と東北地方整備局、関東地方整備局に窮状を訴える予定だが、「値上げで解決する話ではなく、対策の妙案もない」とお手上げ状態だ。

 覆工板の全国保有量は30万tだが、そのうち60%強が関東・東北に集中している。この2、3カ月で関東地域で稼働率85%、東北でも80%になって在庫の余裕がなくなってきた。重仮設の需要工程は、シートパイル(鋼矢板)-H鋼-覆工板-山留めの順となるが、「東日本大震災で3年前にシートパイルが供給難になり、今は覆工板が品薄。これからは山留めがひっ迫する」(齊藤正男エムオーテック副社長)と覆工板だけでなく山留めに及ぶ可能性もある。
 シートパイルの品薄時には、協会が元請けの需要データを集め、名古屋以東の地域から調達し東北に供給するスキームを採用してもらい、需給に対応してきた。ところが覆工板は、メーカーが3社(ジェコス、産業振興、阪和エコスチール)のみで、そうした組織的対応が取れない。またリースの供給会社の保有能力も限界にあり、回収した覆工板も塗装や溶接の加工が必要ですぐには供給できない。
 協会では「とにかく窮状を訴える。代替品の転用、盛土など他工法の対応、分割発注、発注者からの買い上げなどを要望する」としているが、これぞという決め手がないのも事実。
 「われわれリース業は、余剰仮設を抱えたら経営危機に陥る。いま増大している需要が長期に続くという確信が持てず、先の見極めができないことが企業努力(設備投資)に踏み切れない原因」(秋葉悟丸藤シートパイル専務執行役員)といった声も上がる。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

Related Posts:

  • 【国交省】橋もダムも現場も見に行こう! インフラツアーの情報はこちらから  国土交通省は、全国のインフラツアーを紹介するポータルサイトを開設した。橋やダムなどのインフラを観光資源として活用する取り組みを推進するのが狙い。  ポータルサイトにはインフラツーリズムのパネルに加えて、各地方整備局などが主催する現場見学会や民間事業者が催行するインフラツアーなどの情報を掲載している。定期的に情報を更新するなど、最新情報を集約して掲載することでインフラツーリズムの推進に役立てる。サイトはこちら。 建設通信新聞の見本紙をご… Read More
  • 【2015年を振り返る】担い手確保・育成への取り組み元年 品質確保と信頼回復への対応  2015年は、担い手3法の運用指針策定により、建設産業界にとって本格的な担い手確保・育成への取り組み元年の年だった。また、女性活躍推進、重点整備計画など新たなキーワードに基づく多様な人材活用や地域づくりが本格的に始まった年でもあった。ただ一方で、免震ゴムの性能や杭データ偽装といった、建築物の信頼を損なう問題も浮上、建設産業界にとって品質確保と信頼回復へ向けた対応が求められた1年でもあった。この1年の出来事を、重大ニュースとして振り返る。… Read More
  • 【電子ライブラリー】現場写真もイラストもフリーで使える!(まずは関係団体限定) 建設業振興基金  建設業振興基金は、建設業団体の広報活動に役立ててもらおうと、写真やイラストなどが著作権フリーで使える新コンテンツ「電子ライブラリー」を開設した。  立ち上げ段階では、工事現場の写真などを中心に約300点の素材を収録している。まずは建設産業人材確保・育成推進協議会の関係団体に利用を限定。ログインサイトにアクセスし、振興基金から送付されたユーザー名とパスワードを入力すれば利用できる。  建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら … Read More
  • 【2015年を振り返る】関東甲信重大ニュース リニア、八ッ場が本格化、自然災害・偽装事件の試練  2015年の関東甲信地方は、リニア中央新幹線や八ッ場ダム本体が着工し、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の埼玉県内区間が全線開通するなど明るい話題があった一方、自然災害、免震ゴム性能と杭データ偽装・流用などが業界に試練をもたらした。担い手3法の成立を受け、各発注者による着実な動きもみられた。この1年を振り返る。写真は新たな観光資源でもある八ッ場ダムでの「やんばウオーク」(10月25日)。 ■関東・東北豪雨で教訓 9月23日撮影の鬼怒… Read More
  • 【建築】南陽市文化会館が「最大の木造コンサートホール」でギネス世界記録認定!  2015年9月に完成した山形県南陽市の市文化会館が、「最大の木造コンサートホール」としてギネス世界記録に認定された。構造体製作を担当したシェルター(山形市、木村一義代表取締役)が記録挑戦に申請していたもので、21日に公式認定証授与式が文化会館で開かれた=写真。  文化会館は、ホールの構造が完全な木造で、設置された座席数が最多の1403席あることなどから記録が認定された。 施設規模は、木造耐火一部RC造地下1階地上3階建て延べ6178㎡。… Read More

1 件のコメント :

  1. 現場からの盗難に気をつけないといけませんね。

    返信削除