2013/11/07

【大阪】都市の魅力伝える「生きた建築」28選 ガスビル、梅田吸気棟など

「大阪ガスビル」
大阪市は「生きた建築ミュージアム」事業で、市内28の建物を選定した。「大阪ガスビル」「ダイビル本館」など近代建築の魅力を伝える建物に加え、「梅田吸気塔」といった工作物、住宅なども含まれている。23日と24日には初弾イベントとして選定建物の特別公開などを予定している。
 大阪のシンボル・御堂筋周辺のうち、戦前から高度経済成長期にかけての建築物を中心に、大阪の都市魅力を発信する取り組みの一環で実施した。


「梅田吸気塔」
安井武雄が設計、1933年に完成した大阪ガスビル(中央区平野町4)は、66年に増築した北館(設計=安井建築設計事務所)と一体で選定。2013年に完成したばかりのダイビル本館(北区中之島3、設計=日建設計)は渡辺節設計の旧ビル(1925年)の外観を復元、「れんがの壁が趣のある存在感を放つ」と評価している。
 建築物ではないものの「直線的なビル群に取り囲まれ、静かな存在感を放つ」として選ばれたのが「梅田吸気塔」(北区曽根崎2、63年)。村野藤吾が手掛けたユニークなデザインは「巨匠の個性と、高度経済期の地下街建設ラッシュを反映した大阪らしい逸品」と紹介している。
 セレクションの中には千日前商店街にある喫茶店・純喫茶アメリカン(63年)や、大阪市内では貴重な戦前の木造町家・北野家住宅(28年)といった小規模な建物も含まれている。
 選定は、学識者らで構成する「生きた建築ミュージアム推進有識者会議」(座長=橋爪紳也大阪府立大教授)が当たった。事業を担当する都市整備局によると、今後も新たな建築物選定を続けていく方針だ。初弾イベントとして23日と24日に北野家住宅などを特別公開するほか、建築ツアーも実施する。建築ツアーは事前の申し込みが必要。問い合わせは、同局企画部住宅政策課まちづくり事業企画グループ・電話06-6208-9222。
 このほかの建物は次のとおり。
 ▽三井住友銀行大阪本店ビル▽ルポンドシエルビル(大林組旧本店)▽日本聖公会川口基督教会▽大阪証券取引所ビル▽生駒ビルヂング▽武田道修町ビル▽船場ビルディング▽新井ビル▽堺筋倶楽部▽大阪商工信用金庫新本店ビル(旧本町ビルディング)▽北野家住宅。
 ▽清水猛商店▽芝川ビル▽大阪倶楽部▽輸出繊維会館▽日本基督教団大阪教会▽今橋ビルヂング(旧大阪市中央消防署今橋出張所)▽グランサンクタス淀屋橋▽大丸心斎橋店本館▽南海ビル(高島屋大阪店ほか)▽高島屋東別館▽食道園宗右衛門町本店ビル▽船場センタービル▽西長堀アパート。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)


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