2013/11/04

【BIM】気仙沼BRTにも初適用 3Dモデルで駅内ナビ

『東京駅3Dナビゲーション』
東京駅八重洲口に完成した大屋根デッキ「グランルーフ」。2階のドコモショップ内に置かれた7台の情報端末では、駅や店舗などの関連情報を無償提供する『東京駅3Dナビゲーション』が利用できる。実証実験を経て設置されたもので、3次元のウオークスルーによって、行き先のルートを案内、構内の史跡なども紹介しており、利用者は多い。


◇JREコンサルが開発

 システム開発に携わったジェイアール東日本コンサルタンツの小林三昭理事ICT事業本部部長は「BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を、鉄道事業の顧客サービスに活用した成果の1つ。利用者が求めるのは運行情報であり、構内の店舗情報でもある。建築の3次元モデルデータに、ナビゲーションに必要な属性情報を位置付けた」と強調する。
 建設コンサルタントでは国土交通省が試行するCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)への対応を強化する動きが拡大するものの、あくまで同社は鉄道との関連性を意識したデジタルコンテンツサービスの3次元活用を重点テーマに置く。将来的には「鉄道情報利用プラットフォーム」の構築を目指しており、東京駅3Dナビはその先駆けとなるサービスだ。小林部長は「単に駅などの鉄道事業だけでなく、空港や地下街など利用者が多い空間にも活用できる」とその先も見据えている。

◇BRTの運行にも活用



BRTにも3Dデータが活用されている
鉄道事業へのデジタルコンテンツ活用は、東日本大震災の津波で多大な被害を受けたJR気仙沼線の再生プロジェクトがターニングポイントになった。鉄道復旧までの措置として暫定導入されたバス高速輸送システム「バス・ラピッド・トランジット(BRT)」の導入検討に3次元モデルが使われ、さらにそのデジタルコンテンツが運行時にも活用された。
 気仙沼線BRTが運行を始めたのは2012年8月。利用者は『BRTネット』を通じ、運行状況などの沿線情報をスマートフォンで確認する。情報は組み合わせることで、役立つ有益な情報に変わる。情報を1つにまとめる効果は大きい。BRTネットは、構築を目指すプラットフォームの実用化第1弾の試みでもあった。
 現場の環境も大きく変わった。BRTネットによって、運転手は運行の乱れをリアルタイムに確認できるようになり、非常時マニュアルなどの紙書類も持ち歩く必要がなくなり、携帯端末が必需品になった。小林部長は「ナビゲーションは手段の1つ。恩恵を受けるのは利用者だけでない。事業者側にも大きなメリットがある」と説明する。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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