2013/11/26

【現場最前線】運休中のJR仙石線 東名と野蒜駅 3.5km区間を内陸側へ移設する

東名工区の橋脚、右奥の丘陵では復興まちづくりが進められている
通勤・通学を始め、地域住民の足として日常生活を支える鉄道。震災で甚大な被害を受けたJR仙石線(宮城)は、現在も一部区間で運休が続いている。こうした中、早期復旧に向けて陸前大塚駅~陸前小野駅間の内陸側への移設工事が東松島市の復興まちづくりと一体となって進められている。2015年度中の運行再開を目指し、高架橋の新設工事などが行われている現場を訪ねた。

◇東名と野蒜駅を内陸へ


 仙石線は仙台市と県内第2位の人口を擁する石巻市を結ぶ重要路線。津波により大きな被害を受け、高城町駅(松島町)~陸前小野駅(東松島市)間が現在も不通となっている。
 東日本旅客鉄道(JR東日本)は、特に被害の大きかった東松島市内の陸前大塚駅~陸前小野駅間について、東名・野蒜両駅を含めた約3.5㎞を内陸側にルートを移設して復旧することを決め、今年度から本格的に着工している。
 陸前大塚駅~新・東名駅の東名工区(約1.3㎞)の施工は鹿島が担当。メーンは高架橋4橋の新設だ。軟弱地盤であるため、RC高架橋の橋脚に場所打杭(径1500mm×長さ7.5-23.5mおよび径1800mm×長さ14m)を施すほか、PRC高架橋の橋脚には深礎杭(径6000mm×長さ8m)を打つ。
場所打ち杭の模様(東名工区)


◇労務・資材不足


 工事エリアは、隣接する「野蒜北部丘陵地区被災市街地復興土地区画整理事業」内であるため、十分な作業ヤードが確保できないほか、労務・資材不足に苦労している。
 今後、下部工が完成した部分から順次、上部工の架設に着手するが、神品英夫所長(鹿島)は「生コンクリートの出荷制限があるほか、型枠や鉄筋の職人が不足しているため、綿密な計画を立てて打設しなければならない。冬季の養生にも十分配慮し、品質の高い構造物に仕上げたい」と語る。
 一方、新・東名駅~新・野蒜駅~陸前小野駅(約2.2㎞)の野蒜工区は、鉄建が施工を担当している。東名工区と同じく高架橋を4橋新設するほか、既設の鳴瀬高架橋のかさ上げを行う。


◇鳴瀬高架橋

 鳴瀬高架橋は、鳴瀬川橋梁と新設する高架橋をつなぐ長さ105mの橋。現在は終点側に向かって上り勾配となっているが、高台移転によって旧野蒜市街地より22m高くなる新市街地からの接続となるため、下り勾配にする必要がある。
 作業手順は橋脚の柱を切断し、350tのクローラクレーン2台を使って橋桁ごと一度脇に外す。その後、受ける支保工を上げて橋桁を戻し、柱を継ぎ足す。現行より最大5.6m高くなるという。
 中西寿男所長(鉄建)は「12月中旬から橋脚の切断を行い、来年1月から3月にかけてクレーンによる撤去作業を実施する。橋脚を5.6mもかさ上げする工事は、誰も経験したことがないため、事前の試験を行いながら慎重に作業を進めていきたい」と話す。
 両工区とも14年6月をめどに主要工事を終え、その後は別途発注される軌道や駅舎工事などが始まる予定だ。
 震災以降、多くの沿線住民が移動に不便を強いられている中、貴重な“地域の足"の1日も早い全線開通が待たれる。
鳴瀬高架橋(野蒜工区)

建設通信新聞(見本紙をお送りします!)


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