新国立競技場の建設計画をめぐり、建築家の槇文彦氏を代表者とする有志が、下村博文文部科学相と猪瀬直樹東京都知事、河野一郎日本スポーツ振興センター理事長あてに再考を求める要望書を提出した。7日に文部科学省で会見した槇氏らは、景観、安全、維持管理などから現行計画に疑問を示し、「計画の最終決定までの中で、キーパーソンとなる方にいろいろなことを考える機会にしてほしいという思いもあって要望書を出した。将来にツケを回さない計画にしてほしい」と訴えた。
要望は、▽外苑の環境と調和する施設規模と形態とする▽成熟社会にふさわしい計画内容にする▽計画決定に至る経緯と計画内容の詳細を公表する説明責任を果たす--の3項目からなり「新国立競技場計画に対する見解」を添えた。建築家や大学教授など約100人が賛同者として名を連ねている。
会見で槇氏は、参院予算委員会で整備費が最大約3000億円になるとの試算が示されたことに触れながら、「計画の見直しが必要なことが確認され、反響、関心が高まっている」とし、「最終決定に至るまでの検討の経緯を説明する責任がある」と強調した。
また、予算を拡充して現在の計画案に近いものをつくる姿勢と、できる限り規模を縮小して40-50年後の東京にふさわしいものにするという2つの姿勢があるとし、「この2つの姿勢のせめぎ合いになる」との見通しを示した。
その上で、「8万人収容という数字が一人歩きしているが五輪は7万人でも行われている。仮設で2万人に対応すれば5万人規模になる」との考えも提示。「こういうオプションを考え、確認、検証していくことが大事」としたほか、「規模を縮小することは、設計する側からみても、設計が楽になり質を上げることになり、40-50年後にも誇れる施設により近くなる」とした。
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