土木の魅力を声高に訴えている元日本マイクロソフト社長の成毛眞氏(書評サイト「HONZ」代表)が14日、東急建設の2013年度技術発表会で「業界外から見た土木の魅力-精密土木に驚いた」と題して講演し、工事現場を子どもたちに見せ、精密さや面白さを会社・現場を挙げて説明するよう呼び掛けた。「(現場を見れば)100人に1人は絶対に面白いと思う。その1人をつかまえ、面白さを話し続けることをお勧めする」とした=写真。
成毛氏は、歴史に残る建造物を社会に残せる建設業への敬意を示した上で、「時代が変わってきた。陰に隠れがちだった存在から表に出始めた。人の興味が集まる『におい』がする」と建設業の印象を語った。その上で、「土木技術は世界最先端だ。儲かっていない産業が悪い産業で、儲かっている産業が良い産業と言われるが、技術の高さで判断すべき。世界最先端の技術を持つ産業を伸ばさなければならない」と訴えた。
ただ、「3月に東横線の切り替え工事が話題になったが、一般の人は鉄道会社の仕事と思っていて、建設会社の姿をイメージしている人は少ない」とし、一般のイメージと現実にギャップがあると指摘した。
◇精密土木
このため、「現場の人には当たり前かもしれないけど、何㎞もトンネルを掘って数mmの誤差しかないことは、一般の人には驚愕の事実だ。『精密土木』という言葉をつくって精密さをきちんと説明するよう提案している」と、土木の精密さを広く社会に説明し続ける必要性を力説。
具体的な方法として、建設通信新聞(6月24日付)に掲載された自身のインタビュー記事を紹介しつつ、「中高生を建設現場に呼び、現場で直接、精密さを説明したらいい。全員を説得しようとすると、誰も興味を持たない。強い関心を示すのは、100人に1人でいい。その1人ときちんと付き合う。その活動を現場や会社を挙げて、長い期間続けることをお勧めする」と提起した。
最後に「大手建設会社より携帯ゲーム大手企業の方が、時価総額が高いこと自体が間違いだ。時間をかけて改善していこう」と呼び掛けた。
質疑応答では、建設業のマーケティング力について問われ、「建設業はPRがうまくないが、直接、消費者に物を売る業種ではないから当然だ。知る人ぞ知る存在で構わない。100人の1人にきちんと知られることが重要だ」とマーケティングの極意を重ねて伝えた。建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
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