千里山キャンパス |
構想案では、「受け継ぎ、つなぐ(過去から現在へ)」と「育み、伸ばす(未来へ向けて)」を空間の基本理念として掲げた。90年に及ぶ歴史の積み重ねをデザインで表現する考えだ。
デザイン室のリーダーを務める市原淳管財局管財課長は「老朽化する施設の再整備では、昔からの施設配置を生かすことを念頭に置いて建て替えを進めている。この地に息づいている歴史や思想をキャンパスデザインに込めて、次の世代に伝えたい」と話す。
市原淳管財局管財課長 |
◇10のクラスター
キャンパス全体は、学部や機能別にエリア分けした合計10のクラスターごとに、空間マネジメントの特徴付けや方向性、基本方針などを定めている。このほか緑のキャンパス空間整備として、質の高い「環境の器」づくりも特徴的だ。
大学では今後、千里山キャンパス以外の高槻、高槻ミューズ、堺の各キャンパスでも同様の理念でガイドラインをまとめ、施設整備に取り組む考えだ。
個別施設の整備を進める際には、デザイン室がデザイン会議に提案し、承認後、常任理事会で具体化を決定している。千里山キャンパスの課題は、同キャンパスが風致地区に指定されているため、建築物に高さ規制があり、高層化ができず、空き地率などにも規制がかけられていることだ。建物を新築する際には、既存施設を取り壊す必要がある。
また、デザインだけでなく施設の使いやすさにも配慮する。市原課長は「使っている人は建て替えることで施設が一段と使いやすくなると思うもの。現施設の使い勝手の良さを残した施設整備も重視している」と話す。
◇100周年記念事業も完成
今年度に行っている施設整備では、第4学舎第2実験棟の建替工事を11月に着工するほか、創立100周年記念事業として計画した同キャンパス内にある第一高校・中学校のプール建替工事、北陽高校・中学校の体育館建替工事が竣工した。
設計者の選定方式には、指名プロポーザルを採用している。5者程度を指名し、審査はデザイン室が担当している。「特定されなかった場合でも、評価結果を残し、次回の設計者選定時の参考にするので、積極的に参加してほしい」と要望する。
施工者は、指名競争入札で決めている。多い時には9社くらいの参加がある。
施工にあたっては「大学の卒業生が担当する場合も多く、オール関大で高品質な建物を整備することがうれしい」とし、「今後もこれまでと同様に頑張ってほしい」とエールを送る。
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