著名建築家3組が手掛けたあずまや(フォリー)が、高松市の四国村(四国民家博物館)で現在開催中の特別展「無何有郷(むかゆうきょう)」の一環で展示されている。同展に参加した遠藤秀平(遠藤秀平建築研究所)、中村勇大(中村勇大アトリエ)の2氏と手塚貴晴・由比夫妻(手塚建築研究所)らによる座談会が26日、同博物館で開かれた=写真。
同博物館は、四国を中心に古民家や古民具などをコレクションし、復元展示していることで知られる。敷地内に点在する古民家の中に出現した3つのフォリーは、いずれも「古い建物を際立たせる仕掛け」(中村氏)にとどまらず、建築家自身が建築のあり方を再考するきっかけづくりにもなった。
遠藤氏は、東日本大震災とその後の原発問題を引き合いに、「力わざのような」建築技術に対するアンチテーゼとして、「やりすぎない」建築を今回は考えたと述べた。
中村氏は、フォリーの制作を通じて、「手作りすることの難しさや苦さをかみしめた」と振り返った。
手塚夫妻は、現在に残る古民家が時間による淘汰を経て残った、「強くて優秀な建物」であると評価した。その一方で、歴史や文化的なものを絶対視するのではなく、「建築も文化も、古いものも新しいものもフラットに考える」柔軟な感性が重要であると主張した。
遠藤氏の友人で、座談会にゲスト参加した陶芸家・大樋年雄氏は、江戸時代末期に建てられた武家屋敷に住んでいる。この経験を踏まえ、古民家を現代に生かす工夫や仕組みに関する不備を指摘した。さらに、フォリーと古民家の融合には強い感銘を受けた様子で、「1つの夢を共有し追いかけることで、素晴らしいものが生まれる」と満足した表情を見せていた。
「無何有郷」は12月1日まで開催している。問い合わせは同博物館・電話087―843―3111。
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