東日本高速道路会社は、全自動ロボット型空中俯瞰撮影システムを活用した橋梁などの点検業務の開発を進めている。2014年度の実用化を目指し、19日に群馬県渋川市の関越自動車道・利根川橋下の河川敷で無人飛行体(UAV)の可能性についての試行実地検証を報道機関に公開した。今後、製作企業と技術開発を進めるとともに、運用マニュアルなどを作成する。14年度末にはモデル事業を実施し、事業化につなげる考えだ。
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現状の点検は、車線規制して橋梁点検車を使って作業員が目視で実施している。同システムの実用化は、スピードアップにつながる。将来的には、高い橋脚を持つ山岳部のコンクリート橋などをターゲットにしている。
同システムは、小型軽量で完全自律飛行するUAV「エアビークル」と「ベースステーション」、ビークルコントロールを行う「タブレット」で構成。人がリモコン操縦せず、飛行・点検個所をタブレットに入力するだけで、機体は自律飛行し必要な画像データなどが得られる。目視では発見しづらい橋梁の老朽化を早期に発見できるほか、日常的な点検が困難なインフラ設備の点検・保守や監視業務もリスクを最小限に抑えて効率的に実現できる。また、約15haもの広域地域の高精度スキャンが可能。撮影した写真は1枚ずつ正確な撮影情報・位置情報をファイルとして保有し、写真測量に対応する。
このほか、地震や台風などの自然災害時など、道路への点検車両侵入が困難な場合でも空中俯瞰写真や動画が撮影でき、土砂崩れ範囲の把握など、早期復旧に役立つ情報を瞬時に取得できる。
同システムは、カナダのAeryon社製。運用技術の開発を進めている東日本高速道路は、上向きHDカメラを搭載し、GPS(全地球測位システム)精度を高めた機体を同社と開発中。これにより橋梁下の飛行など活用範囲を拡大させる。実証実験では、撮影した画像を数mm単位で、どの程度のクラックまで分かるか検証を重ねており、点検基準づくりに反映させる。バッテリーとの兼ね合いを考慮しながらカメラの精度も検討していく。
技術開発は、2段階で進める考え。同社管理事業本部の松坂敏博管理事業計画課長兼SMH推進チームリーダーは、「今後、半年かけ上部固定カメラの設置を開発。次に点検になじむよう製品化に向けた開発も必要になる。トータルで1年ほどかかる」と見ている。事業化に向けて、「14年度末までに優先度の高い個所を1、2カ所選定し、パイロット的に実践配備を目指す」。
あわせて現場の点検員の訓練も実施。トレーニング訓練カリキュラムも策定中だ。全国配備時には各地域で5、6人の担当者を想定している。運用マニュアルも策定する考え。
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