2013/11/01

【復興版】震災で活躍した石巻赤十字病院の増築工事が起工

増築工事の完成予想
石巻赤十字病院(宮城県石巻市)の増築・改修工事が10月31日、鹿島の施工で本格着工した。東日本大震災により壊滅的な被害を受けた石巻地域の救急医療や重症治療および災害時医療の各機能を再構築する拠点となる。設計・監理は日建設計が担当。2015年6月の完成、同9月の供用を目指す。


 石巻市周辺の医療機関は震災により多くの施設が被災したため、石巻赤十字病院が地域医療の中心的役割を担っている。現在、喪失した地域の急性期病床を補完するため、50床の仮設病棟を建設して対応しているが、救命救急センターの拡充および重症患者管理体制の充実を目指して増築棟を整備する。
 あわせて、人材育成の強化を視野に入れた災害医療総合研修センターも備える。
 規模は増築棟がS造(免震構造)4階建て塔屋1層延べ1万5250㎡。1階に救命救急センター・救急病棟など、2階にはICU(集中治療室)などを配置する。3階は病棟および医局、4階は機械室となる。病床数は64床。また、屋上にはヘリポートを備える。
 災害医療総合研修センターはS造3階建て塔屋1層延べ約6260㎡。看護学校や災害センター研究室などからなる。増築棟に先行して15年4月から供用する予定だ。建設地は同市蛇田字西道下71。
 この日の神事には、見澤泉日本赤十字社事業局医療事業部長や金田巖石巻赤十字病院長、平石譲日建設計常務執行役員、赤沼聖吾鹿島専務執行役員東北支店長ら関係者約50人が出席。代表者による鍬(くわ)入れの後、神前に玉ぐしをささげて工事の安全と早期完成を祈願した。
 神事後にあいさつした見澤部長は「震災により石巻地域の多くの医療施設が機能停止した中で、当病院は唯一の災害拠点病院として重要な役割を果たすことができた。将来を見据えた機能強化と人材育成のための施設を新たに整備することで、今後も地域に愛され、頼られる病院として精進していきたい」と述べた。
 これを受けて平石常務は「震災を受け、地震対策にはさらに万全を期した。無事故・無災害で引き渡せるよう最善の努力を尽くしたい」とし、赤沼支店長も「既存施設に続いて工事を担当することができ、感謝とともに責任の重さを感じている。皆さんに満足いただける施設を工期内に無事故・無災害で完成できるよう、誠心誠意を持って当たりたい」と決意を表した。
*   *
 石田弘幸所長(鹿島)の話 「既存施設との近接工事となるため、騒音・振動などに配慮しながら工事を進める。資材や技能者不足が懸念されるため、相当の工夫を施す必要がある。安全で安心な建物を全工期無災害で竣工させることで、石巻復興の役に立ちたい」
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