金ヶ瀬さくら大橋上部工の現場 |
同橋は、宮城県大河原町金ヶ瀬の国道4号を横断し、東北自動車道村田インターチェンジ付近の村田町西原に至る延長約14㌔の広域農道「仙南東部地区」の2期工事の一環として建設されている、長さ248m、幅10・75mのPC橋だ。型式は4径間連続PRC波形鋼板ウェブラーメン箱桁橋。
中央部の閉合作業 |
施工に当たっては、主桁の自重を軽減し、上部構造および基礎・下部構造を縮小化するため、ウェブに波型鋼板を採用。これによりコンクリートウェブの鉄筋組立やコンクリート打設などの作業を省略でき、施工の省力化が図られる。さらに移動式作業台を用いた張出架設工法を採用し、河川上での施工を可能とした。
工事は2010年10月にスタート。出水期の6月10日から4カ月間は河川区域内での作業を行えないことから、当初は約1年かけて基礎コンクリートや支保工の組立などを行い、11年10月から一気に橋脚3基(P1、P2、P3)の柱頭部の施工に取り掛かる計画だったという。しかし、北村裕所長は「作業や人が集中すると状況が厳しくなるため、できる時にできる個所から施工したい」と工程を見直し、P1とP2を先行して整備することにした。
◇震災で基礎コンクリート割れる
作業は順調に進み、出水期で作業が止まる11年6月までには2基の柱頭部の施工が終わる見通しだったが、3月11日に東日本大震災が発生。地盤となる基礎コンクリートが割れ、傾き、かつ移動するなど足元が根こそぎ破壊された。これに伴い組み上がっていた支保工も大きく傾斜するなど、甚大な被害を受けた。
「基礎からやり直し、精度が求められる支保工も直すより新たに組んだほうが早いが、そうなると出水期に間に合わない」(北村所長)。加えて波型鋼板の製作にも半年近くを要するため、そのシーズンは部材をばらしただけで手をつけられず、工事を再開できたのは着工からほぼ1年後の11年10月11日だった。
「工期短縮にはマンパワーの投入しかない」と、作業員の人数を震災前の約3倍に増やすとともに、作業時間も延長。「ブロック施工のため1日の遅れが2日、3日と広がる。そうならないよう、何時になってもその日の作業を終わらせた」という。
さまざまな作業が集中し輻輳する中、綿密な作業計画とそれに基づく徹底した工程管理で1年遅れのハンディをほぼ克服、5月末現在の進捗率(見込み)は90%に達した。「現在も余裕はない。いまが勝負」。9月下旬の工期内完成に向けて、北村所長を先頭に、現場一丸となって全力投球の日々が続く。
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