コーポラティブハウス「八雲コートハウス」の計画地は典型的な「旗竿敷地」。高台の良好な住環境だが、四方は住宅で囲まれていた。設計を担当した飯田善彦建築工房の飯田善彦氏は「まず周辺との関係性に気を使いながら、風通しが良く快適に生活できるように考えた」と言う。
クライアントの要求は容積率を最大限に活用し、多世代が入居する9世帯分の集合住宅を建設すること。しかし第一種低層住居専用地域などの厳しい条件から一般的な共同住宅は難しく、地下1階地上3階建ての「長屋形式集合住宅」の提案を求められた。
日影規制や斜線規制をクリアした長屋を実現するだけではなく、「建物は上の階に行くほどボリュームが小さくなるが、周囲への圧迫感を一層低減したかった。そこで真ん中でクロスするようにスリットを切り、全体を4分割して中央に中庭を設けた。これで住戸へのアプローチを確保するとともに、建物全体に風や光の広がりを生み出せた」と効果を話す。
そして斜線制限の関係から居室をつくれない建物北側は、テラスとして有効利用。下層階の天井高を引き上げ、さらに地下階も階高を高くしたことで、建物全体に十分な日差しを行きわたらせ、風が吹き抜けるようになっている。
既に建物は概成。植裁工事も終わり、意図どおりの「良い環境ができた」と確信している。8日には建設地の目黒区八雲4丁目で完成前内覧会の開催を予定している
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年6月5日
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