建築家ユニット『SAU+(エスエーユープラス)』は21日から24日までの4日間にわたり、仙台市青葉区のせんだいメディアテークで建築作品展2012「東北の住宅が変わる」を開いた。23日には「震災後の住まいについて考える」をテーマとするパネルディスカッションを行い、今後の住まいのあり方などを論じ合った=写真。
ディスカッションには、SAU+メンバーの鈴木弘二氏と佐々木文彦氏、首都圏で設計活動を展開している染谷正弘氏(DSA住環境研究室)、林田芳計三光不動産東北支店長の4人が参加した。
このうち、大規模集合住宅の設計に携わっている染谷氏は、今後の住まいについて「戸建ても集合住宅も人が集まって暮らす“集住体"であり、重要なのはコミュニティー。そのコミュニティーを支えているのが相互扶助と自己責任だ」と指摘した。その上で、デザインの手法として「私と公があいまいなセミパブリックスペースは出会いの場なる。こうしたコミュニケーションを促進する仕掛けをつくり、世代間交流が見えるデザインをすることが震災後の被災地では重要ではないか」と訴えた。
林田氏は、被災地における住宅の設置状況などを紹介しながら「被災者にとっては次に建てる家が“終(つい)の棲家(すみか)"になるので、何とか良い家にしたいという人が増えている。集団移転を機会に、被災者が次世代に引き継いでいけるような良い街にすることが大事であり、長く住める住宅を提供することが私たちの役目だ」と強調した。
鈴木氏は「これまで以上にさまざまな住宅をつくっていくと意気込んでいた矢先に地震が来た。建築をつくる人間として無力だったと言わざるを得ない」と当時を振り返りつつ、設計事務所代表および日本建築家協会東北支部会員それぞれの立場で取り組んだ被災地支援活動などを紹介した。
宮城県石巻市北上町にあった自宅兼事務所が津波で流され、長く避難所生活を送るなど、自らも大きな被害を受けた佐々木氏は、被害状況やその後の設計活動への取り組みなどを説明した。
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