『鉱場巡景-recurrence-』 |
コンクールには新潟大工学部建設学科と長岡造形大建築・環境デザイン学科から各5点、新潟工科大建築学科から2点が出品。塚本代表や河村大助JIA関東甲信越副支部長、新潟、長野、群馬の各地域会員が審査した。
川村さんの作品は、人工構築物(廃工場)と森が同じ空間に存在する異質な関係性とその時間軸に着目。時の流れによって加速していく、廃工場の衰退と森の繁栄を表現した。プレゼンテーションでは「人工構造物が最終的に消滅する退廃的な空間を楽しむとともに、植物の繁茂を通して、越路本来の自然の復元が可能となる」と提案した。
◇プロセス重視の提案を評価
特別審査委員として参加した建築家の西田司氏は、総評として、思想やプロセスを重要視する提案が評価を得ているとした上で、川村さんに対し「アウトプット(成果)を求めるのではなく、切り取られた時間の中で何ができるのかをよく考えている」と述べた。また、他の委員も「われわれが何をしてきて、何をしてこなかったかを再考した」「大震災後の建築家の新しい方向性を示している」「今までにない視点であった」などと高く評価した。
金賞以外の入賞作品は、銀賞が薄久保大造さん(新潟大)の『CROSS BRIDGE,or Box of Architecture』、銅賞とユース賞が山本雄介さん(長岡造形大)の『SOTERIA-金生山採石場跡に精神疾患患者と社会つなぐ場』、特別審査委員賞は柿崎恵子さん(新潟大)の『さえずりのなかでそだつ』、佐藤雅善さん(同)の『Junction Museum-交通インフラのアート化-』だった。
同コンクールは日本建築学会北陸支部新潟支所が共催、日刊建設通信新聞社が後援した。
川村さんの話 大学ではランドスケープを専攻していたので、提案が認められたことに驚いている。この評価を今後の仕事に生かしていきたい。
西田氏ら特別講演
◇西田司、中川エリカの両氏も講演
また、この日は第23回JIA新人賞を受賞した特別審査委員の西田司、中川エリカの両氏の講演もあり、共同で手掛けた受賞作『ヨコハマアパートメント』などを紹介。その中で、西田氏は多発する自然災害を踏まえて、「構造物は損失しても、人と人のネットワークは継続していく」とし、「何のために、誰のために建築物をつくるのかを常に意識しつつ、対話的な建築を構築している」と述べた。
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