2012/06/27

専門工事会社のBIM認知度は半数 日建連が調査結果を公表


専門工事会社のBIM取り組み状況
日本建設業連合会の生産性委員会IT推進部会BIM専門部会(福士正洋主査)は25日、専門工事会社におけるBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)活用実態調査の報告書をまとめた。専門工事会社1033社1134人のうち約5割がBIMを認知していた。ただ、取り組んでいたり、準備・情報収集している企業は2割にとどまっている。普及拡大には「実際の活用事例を紹介し、成果・メリットを周知することが重要だ」(曽根巨充アンケートWGリーダー)としている。

『専門工事会社におけるBIM活用実態調査報告書2011年版』は、日本建築学会の協力を得て、専門部会に参加している総合建設会社13社を通じ、20工種の専門工事会社(1次下請け)にアンケートした結果をまとめた。
BIMの認知度を聞いたところ「知っている」と「聞いたことがある」が合わせて48%で、「知らない」が51%となった。工種別では、元請けの設計図をもとに工種ごとの図面を作成する「施工図」は67%が「知っている」と回答した。積算(30%)、設備工事(32%)、鉄骨工事(37%)、金属製建具工事(28%)での認知度も高かった。
企業としてのBIMの取り組みについては、「会社として取り組んでいる」が3%で、「全く取り組んでいない」が74%を占めた。工種別では、「施工図」で取り組んでいたり、準備・情報収集している企業が46%に達し、設備も16%、鉄骨が22%、金属製建具が12%、鉄筋が5%となっている。
取り組んでいる理由(複数回答)は、「元請けからの要請」と「自社の業務効率化」がともに50%を超えた。取り組んだ企業が感じた実施効果は、「設計図、施工図、製作図関係の整合性向上」「建物や施工方法の理解度向上」「元請けとのデータ連係による合意形成の迅速化」が上位に位置した。また、取り組んだことがない会社のBIMに期待する効果と、取り組んだことがある企業が感じる効果の差を見ると「建物の出来ばえ」の面で期待以上の効果が得られていることが分かった。
一方、取り組んでいない理由として、「社内で理解が得られない」や「社内でのメリットが少ない」などが多かった。建設業界で普及しにくい理由は「BIMツールの導入だけでは変革できない」「(業務の)構造的な問題がある」といった指摘が多かった。
今後3年以内のBIM活用物件増加予測では、「増えると思う」が21・9%で、「分からない」を除き最も多かった。
専門部会ではアンケート回答企業へのヒアリングを実施中で、今後も標準化や基準類の整備、メリットの周知などに取り組む。

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