ガイドラインは建築家の遠藤秀平氏が設計した 事務所ビルをモチーフにしている |
ガイドラインは、サンプルデータ、解説ドキュメント、テンプレート(図面作成のひな形)ファイルで構成。2次元から3次元への設計ワークフローに移行する際、モデル作成からデータ連携のルールまで一連の流れを解説している。建築家の遠藤秀平氏が設計した2002年竣工の事務所ビル(S・SRC造7階建て延べ約8000㎡)をモチーフに、データ構成を詳細に確認できる点も好評を博している理由の1つだ。
BIMプロジェクトでは、3次元モデルから2次元図面を出力することが欠かせない。必要な出力部分があらかじめ把握できれば、そこを重点的に対応でき、より効率的なモデリングが実現する。ガイドラインではモデルと設計図面の両方を表示し、具体的にどのようにドキュメントを設定しているかも解説している。
これまでのBIMは施主へのプレゼンテーションとして使うことが主流だったが、設計者の中には基本設計から実施設計、さらには確認申請まで一気通貫で活用したいという要望が拡大している。飯田氏は「3次元モデルの精度ばかりにこだわるのは業務効率が悪くなる。実務で使うのにフルモデルまでつくる必要はない。BIMをより合理化するツールとしてガイドラインを活用してほしい。社内標準を構築する際のサンプルになるはず」と強調する。
BIM暦3年未満のユーザーの多くは、モデルを自在につくり施主へのプレゼンテーションにも積極的に活用しているものの、2次元への図面化で悩むケースが目立っている。実際に「データがどうリンクし合っているか」まで把握しなければいけない。本格導入にはそれを社内ルールとして定める必要もある。
同社は3月に「基本設計図」編、4月には「実施設計図」編の提供を完了しており、6月中旬をめどに「確認申請」編もリリースする予定だ。「ユーザーの多くは自分自身のBIMのやり方に不安を持っている。問い合わせは実施設計段階が多く、ここが本格導入の第一関門ではないか」(飯田氏)と考えている。実はガイドラインの体験版を試す設計者も少なくない。同社にとっては新規ユーザー獲得の営業ツールにもなっている。
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