2015年度の全線開通に向けて順調に整備が進む環状2号線。区間内では立体道路制度を活用した「新橋・虎ノ門地区第二種市街地再開発事業III街区」が、14年度の竣工を目指して建設工事を進めている。施行者の東京都が「地域のシンボルに」と語る再開発施設は延べ24万㎡を超え、高さは247mと東京ミッドタウンに次ぐ都内2番目の高さとなる。道路と建築物を一体的に整備する画期的なビッグプロジェクトだ。
◇地域のシンボルに
都が施行する新橋・虎ノ門地区再開発(III街区の約1・3㌔)を含む環状2号線は総延長約14㌔の都市計画道路で、成熟都市・東京を形づくる骨格幹線道路として重要な役割を担う。
環2(新橋から神田佐久間町までの約9・2㌔)の都市計画決定は1946年までさかのぼる。50年には幅員100mから現在の40mに変更されたが、その整備は長期間実現されないままだった。
しかし、89年に創設された立体道路制度が大きな転機になる。
◇立体道路制度を活用
道路と建築物を一体的に整備する立体道路制度を都施行の再開発事業で初めて導入、96年の「環状2号線(新橋~虎の門)地区まちづくり協議会」の設立へとつながる。さまざまな曲折を経て、事業化に至ったのは最初の都市計画決定(道路)から半世紀以上が経った02年だった。
02年に導入した事業協力者方式も相まって権利者と都、区、事業協力者の官民協働の取り組みによって再開発事業が大きく進展した。事業協力者には西松グループ(西松建設・松栄不動産、西松ビルサービス)・森ビルが選ばれた。
再開発事業は整備区間内の3つの街区でそれぞれ施設を建設する。青年館街区(II街区)は安藤建設の施工で07年3月に完成、新橋街区(I街区)も西松建設の施工で11年3月に竣工している。
虎ノ門街区(III街区)は09年9月に特定建築者として森ビルを選んだ。設計は日本設計が担当、大林組の施工で11年4月に着工した。
再開発施設はS一部RC・SRC造地下5階地上52階建て塔屋1層の超高層棟と同地下5階地上3階建ての商業棟で構成、総延べ床面積は24万4360㎡。
◇道路は2013年度に先行開通
メーンとなる超高層棟に上層部からホテル、住宅、事務所、カンファレンスといった各機能を配置、低層階に商業機能を設ける。
一方の低層棟は商業がメーンになる。建物の省エネルギー性能も高水準なものを目指すとともに、地上部は環2地上部道路の緑が芝公園~愛宕山~日比谷公園へと広がる環境軸を形成。豊かな緑とオープンスペースを確保する計画だ。
建設に当たっては、地上と地下部を同時に施工できる逆打ち工法を採用、工期の短縮とともに、工事中の周辺への影響を最小限に抑える工夫も施されている。再開発施設の完成は14年度、区間内の道路は先行して13年度の開通を目指す。
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