2012/06/21

被災自治体で技術系の職員不足が深刻に 事務量の増大が影響


宮城県庁で開かれた震災関係職員確保連絡会議の初会合では、
被災自治体から土木や建築の専門職への応募が少なく苦慮している
といった悩みが吐露された

 東日本大震災からの復旧・復興に向けた動きが本格化しつつある中、被災自治体では事務量の増大に伴い広範な職種にわたって職員不足に陥ることが強く懸念されている。
 宮城県が津波被害を受けた沿岸15市町に対して実施したアンケート(6月1日現在)の結果によると、全体では必要人数963人に対し、充足できたのは51・3%の494人にとどまり、469人の不足が生じている。

 特に深刻なのが区画整理と集団移転のまちづくり2事業における職員不足だ。11市町で必要とする人数の合計が260人に対して充足できたのは名取市の5人だけで充足率はわずか1・9%。甚大な被害を受けた石巻市(必要人数135人)、気仙沼市(32人)、東松島市(20人)など軒並み人員の手当がついていない状況にある。まちづくり2事業以外でも土木、建築など技術系の職員不足が顕在化している。
 こうした状況に対応するため、同県では「市町村震災関係職員確保連絡会議」を設置。14日に初会合を開き、復興関連職員の不足数の的確な把握と情報の共有を図りながら、職員確保に向けたアクションプランに取り組むことを確認した。
 市町の自助努力による職員の採用や他地方公共団体への職員の派遣要請などを県が支援するとともに、職員の必要数を削減するための外部委託や業務の簡素化といった取り組みも進めていく。

◇地方公務員の派遣は8万人に

 今回の震災津波では、行政機能が著しく低下した自治体も多い。総務省がまとめた被災地方公共団体への地方公務員の派遣状況によると、2011年3月11日から12年3月31日までに宮城、岩手、福島の被災3県に派遣された累積人数は7万9623人(消防・警察を除く)に達するが、1日も早い復旧・復興へ今後も継続的な人的支援が求められている。

『私が官僚1年目で知っておきたかったこと』 AmazonLink

Related Posts:

  • 【復興版ルポ】津波から奇蹟の復活 太平洋セメント大船渡工場 復活のキーとなった5号キルン 津波で大きな被害を受けた太平洋セメント大船渡工場。セメント業界が縮小に向かう中での被災に、閉鎖も取り沙汰されたが、工場従業員の真摯(しんし)な取り組みと全社一丸となっての支援で復旧を遂げ、震災で沈む大船渡の町に希望の灯をともした。岩手県内の災害廃棄物の処理を引き受けているほか、生コンクリート不足が深刻化する中、材料となるセメントの製造にフル稼働で取り組むなど、復旧・復興事業に大いに貢献している。発災当時、製造部… Read More
  • 【情報化施工】発注者もPRの必要性認識 東北復興に生かせ! 岩沼講習会ルポ-2- 講習会初日。冒頭で国土交通省東北地方整備局の阿曽貢貴機械施工管理官は、「現在整備を進めている復興道路や堤防の供用は1日も早く進めたい。熟練オペレーターの不足や、品質確保、工期短縮という課題を克服するために効果がある情報化施工を広く導入したい」とあいさつした。 ◇TS出来形管理実演  講習会1日目は発注者向けで、東北地方整備局、青森、仙台、能代、福島の各河川国道事務所、胆沢ダム工事事務所、東北技術事務所、また関東地方整備局、関東技術事務所から参… Read More
  • 【情報化施工】対応重機が集結 東北復興に生かせ!-岩沼講習会ルポ-1- 宮城県岩沼市の仙台空港近くにあるキャタピラー東北岩沼研修センター。ここは、2年前まで建機の教習所があった場所で、津波で流された教習センターの基礎が生々しく残る。5月16、17日の2日間、この場所で「災害復興に役立つ情報化施工講習会」が開かれた。国土交通省東北、関東両地方整備局から22人、東北6県で工事を行う建設会社などから約50社100人が2日間の講習を受けた。 講習会に携わったスタッフは約70人。日本建設機械施工協会(JCMA)、土木研究所… Read More
  • 【復興技術】40社278技術を収録した復興技術検索システム 日建連が公開 日本建設業連合会(中村満義会長)の土木工事技術委員会環境技術部会は、東日本大震災からの復旧・復興で活用できる会員企業の技術情報を検索できるシステムを構築し、29日から日建連ホームページに掲載した。土木工事技術委員会の40社が保有する278技術を収録しており、技術分類やキーワード、実績件数などから検索できる。国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)に登録していない技術や除染など新しい問題に対応する最新技術も掲載しており、被災地の発注機関… Read More
  • 【情報化施工】「入札加点材料じゃない」 東北復興に生かせ! 岩沼講習会ルポ-3- 講習会で募ったアンケート調査には、情報化施工への期待として「工期短縮」「施工効率化」「熟練技術者不足への対応」を上げる声が目立った。東北では、かつてないほどの広域で、多数の工事発注が出ているため、効率の良い施工と熟練オペレーター不足への対応が求められている。 例えば、3次元マシンガイダンス(3DMG)のバックホウは、設計図面を重機に読み込ませておき、GNSS(全地球衛星測位システム)による座標と組み合わせて構築する法面の形状をオペレーターに指… Read More

0 コメント :

コメントを投稿