常磐線は内陸部の東北本線とともに、仙台市を始めとする南東北と関東圏をつなぐ沿岸部の重要路線。東日本旅客鉄道(JR東日本)は、特に被害の大きかった駒ヶ嶺駅(福島県新地町)~浜吉田駅(宮城県亘理町)間について、新地、坂元、山下の3駅を含めた約14.6㎞を内陸側に移設して復旧することを決め、5工区に分けて14年度から本格着工している。
坂元工区・高架橋の型枠工事 |
工区内の丘稜地は桜の植樹地となっていたことなどから、これを保存するためトンネル構造を採用した。10月に戸花山第1トンネル(177m)が貫通。現在、同第2トンネル(427m)を上下半交互併進掘削工法で掘削している。
橋梁と高架橋は下部工が完成した部分から順次、上部工の架設に着手している。また、戸花川橋りょう(27m)は軟弱地盤のため、沈下などに対する保守管理の観点から低床高架橋を採用。鋼管杭(900mm)を梁部分と直結することで、基礎の底版部とRC柱を省略する。
柳川厚作業所長(鉄建) |
一方、新坂元駅を含む新新地駅~新山下駅の坂元工区(約3.4㎞)は、鹿島が担当。5工区内で最も海岸部から内陸部へと移設する。
メーンは工区内の半分以上を占める全長約1.9㎞の高架橋16橋の新設だ。RC高架橋の橋脚では場所打杭として径1800mm・長さ9-19m36本、径1500mm・長さ7.5m-19.5m169本を打つ。
工区内の一部が学校や住宅などの居住地と農地になっているほか、農繁期には作業を中断せざるを得ないなど、工程の調整や作業ヤードの確保が工事を進める上での課題だ。
高橋健一作業所長(鹿島) |
両工区を含めた全5工区は、15年9月までの本体構造物の完成を目指す。その後、別途発注される軌道や駅舎工事などが始まる予定だ。
沿岸地域住民の足として欠かせない常磐線。復興を大きく後押しする運転再開に向け、復旧工事が急ピッチで進められている。
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