若築建設は、港湾工事などのグラブ浚渫工法で、バケット内の水を効率的に排水できる装置を開発し、実用化した。バケット上蓋の内側に空気や液体を注入した袋体を設置することで、表層部の余分な水を追い出す仕組み。既に国土交通省発注の港湾工事で採用し、効果を確認している。特許登録済みで今後は他の浚渫工事にも適用していく方針だ。画像はグラブバケットのイメージ。
グラブ浚渫では、海底の土砂をグラブバケットでつかみ取って浚渫するが、同時に海水もつかみ取る。特に仕上げ段階では海底表面を浅く浚渫するため、土砂に比べて余水を多く掴むことになる。土砂を運ぶ土運船内は水の比率が高くなってしまうため、効率化が課題になっていた。現在、ポンプ浚渫船などを使う大規模浚渫に比べ、比較的小規模なグラブ式浚渫が増加していることから、同社は効率化に向けて開発を進めた。
実工事で適用実績もある |
新開発した装置は、バケット上面の蓋に複数の袋体を設置し、そこにあらかじめ空気や液体を注入する。浚渫後のバケット内部は下層に土砂、上層に水がたまることから袋体によって水が押し出される。袋体への注入量によってバケットからの排水量を調整できる。
一方、掘削作業中に袋体を膨らませたり縮ませたりする装置を装備することも可能だ。装置は大がかりとなるものの、遠隔操作で任意に形状を変化させることもでき、バケットからの排水効率が高まる。
実適用した近畿地方整備局発注の「神戸港六甲アイランド地区航路・泊地(マイナス16m)浚渫工事(三工区)」では、袋体は合計約3m3に設定した。施工の結果、目的どおりの機能を確認できたことから、今後は他のグラブ浚渫工事への水平展開を進める方針だ。
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