2016/01/16

【現場最前線】厳冬下の河川工事、品質と工程確保両立の工法で挑む JR上越線橋梁橋脚耐震補強工事


 東鉄工業が2013年から施工しているJR上越線土樽~越後湯沢間の鉄道橋りょう橋脚耐震補強工事が最盛期を迎えている。現在、魚野川とその支流に架設されている第1魚野川橋りょう、毛渡沢橋りょう、第2魚野川橋りょう=写真=、第3野辺川橋りょうで河川内作業を進めている。川幅が広いため、いずれの橋も延長が長く、橋脚数も多い。豪雪地帯の厳冬期という厳しい条件下で、高度な技術とノウハウを生かし、品質と工程確保を両立している。

 耐震補強では、既設橋脚に厚さ20cmの鉄筋コンクリートを巻き立てる。橋脚の周囲を土留めと止水を兼ねた鋼製矢板で締切り、地中3-8mの基礎天端まで掘り下げたのち、掘削底面から2mまでは鋼製土留め(ライナープレート)を組み立てて止水性を確保する。その上部は大型土のうを重ねて掘削斜面の安定を図った上で補強用のコンクリートを構築する工法を採用している。

毛渡沢橋りょうの昇降式足場

 一般的な鋼製矢板による全周締切りに比べ、コストや施工スピードにメリットが多い工法として提案し、昇降式足場の採用も含めて工期短縮に取り組んでいる。流水部の重機の移動路は、大型土のうや流れを変える「瀬替え」、管径1mのFRP管の仮設などで確保する。
 流水部の作業では水位の変化に注意が必要なため、随時谷川山系の気象情報をインターネットなどで確認するほか、渇水期最高水位から50cm以下の水位になった時に緊急避難をする体制をとっている。

流れを変える瀬替え工事

 小林健悟耐震工事所長は「瀬替えなどの際には生態系に配慮し、地元漁業協同組合の指導のもと逃げ場を失った魚を保護し、新しい水路に放流する『魚ひろい』をした」と、河川工事ならではのエピソードを披露する。2年前から毛渡川橋りょうの現場に従事している藤原裕貴工事管理者は「移動式昇降足場を活用し、コンクリートの品質確保や作業の効率化に取り組んできた。これから厳冬期の施工となるが、引き続き列車安全、作業安全に注意し、良質な成果品を届けたい」と意気込む。
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