2016/01/05

【復興特別版】復興・創生期間へ…東北6県・注目の建築プロジェクトを紹介! 


 東日本大震災から間もなく5年を迎える。集中復興期間が終わりを迎え、4月からは復興・創生期間がスタートする。復興事業費の一部が地方自治体負担になることで、事業量の減少も懸念される中、被災地では、復興のシンボルとなる文化施設や庁舎整備などのまちづくりが本格化する見通しだ。また、被災地以外でも老朽化した庁舎や病院の建て替え、暮らしを豊かにする文化・スポーツ施設などの整備が続く。ことし1年に注目される東北6県の主な建築プロジェクトを紹介する。画像は八戸市屋内スケート場のイメージパース。

◆青森県 スケート場設計3月下旬完了

 青森県内では、年明け早々に五所川原市の新庁舎建設工事(設計=佐藤総合計画)が建築と設備に6分割して公告される予定だ。
 八戸市は、(仮称)屋内スケート場建設事業(同=山下設計)の設計が3月下旬にも完了。総事業費約112億円、世界水準の氷質と空調・照明環境を備える。工期は30-33カ月間を見込んでおり、16年度にも工事の発注手続きを進める。
 県の縄文時遊館(青森市大字三内丸山)の増築は梓設計、下北医療センターのむつ総合病院透析センター(むつ市小川町)も3月に佐藤総合計画で設計が完了することから、早期の工事着手を目指す。
 本州最北端にある大間町は、役場庁舎の移築に向けて民間活力導入を含めた整備手法を庁内で固める。


◆岩手県 復興のシンボルへスタジアムや庁舎

釜石市の鵜住居復興スタジアム完成予想

 沿岸被災地のうち、釜石市は(仮称)鵜住居復興スタジアム(設計=梓設計)や庁内で基本構想策定中の新庁舎整備事業の動向が注目される。
 宮古市では、12月議会で関連議案が否決された実施設計・施工一括発注方式(デザインビルド=DB)の中心市街地拠点施設整備事業(基本設計=久米設計)の公告時期も注視したい。
 県による宮古港カーフェリーターミナル整備事業は官民連携手法導入可能性調査(八千代エンジニヤリング)を踏まえ、事業手法を具体化する。
 陸前高田市では、(仮称)市民文化会館の基本計画をシアターワークショップに委託。16年度に設計に着手する。同市新庁舎については、建設候補地や規模を具体化させる。再建する県立高田病院の設計(武田菱設計)も5月に完了する予定だ。
 久慈市が久慈駅前に整備する複合施設は民間活力導入可能性調査(担当=八千代エンジニヤリング)の3月完了後に事業手法を決定する。盛岡市はPFI導入可能性調査を委託する動物公園(調査=日本経済研究所)の整備手法を詰めていく。

◆宮城県 南三陸町が庁舎利府は文化施設
 南三陸町は12日に町役場・総合支所新築工事(久米設計)を入札する。利府町の文化複合施設は、2月にも基本設計業務の委託者を特定する。3月に基本計画がまとまるのは、登米市庁舎と大崎市庁舎(ともに庁内)、亘理町役場庁舎(国際航業)や石巻市文化複合施設(三菱地所設計)で基本設計委託に向けて準備を進める。
 工事発注では、県立気仙沼向洋高校(設計=関・空間設計)や県立病院機構の精神医療センター(同=共同建築設計事務所)のほか、女川町がDBの採用を予定する庁舎等整備事業(基本設計=梓設計)、名取市の閖上小・中一貫校(設計=桂設計)、登米市立米谷病院(同=佐藤総合計画)など。
 東北最大の都市・仙台市内では、同市初のRO(改修・運営)方式PFIを導入する市科学館改修事業のアドバイザリー業務を発注するほか、長年の懸案事項だった新音楽ホールの整備に向けた調査を進める。市営地下鉄東西線の開業を契機に、民間による沿線まちづくりも加速しそうだ。
 空港コンセッション(運営権付与)事業の初弾となった仙台空港特定運営事業では、東京急行電鉄などで構成する東急前田豊通グループが約342億円を投じて、LCC向けの旅客搭乗施設増築やターミナルビルを改修する。

◆秋田県 県と市の文化施設計画具体化
 県と秋田市が共同で整備する新文化施設(基本計画=シアターワークショップ)は、建設候補地である県民会館の敷地や周辺調査を行い整備計画を詰めていく。
 統合庁舎を整備する仙北市は、早期に建設候補地を固め、設計を委託する方針だ。
 大館市は、夏にも市役所本庁舎建設事業(基本計画=石本建築事務所)の基本設計の委託先をプロポーザル方式で選定する予定だ。
 このほか、隈研吾都市建築都市設計事務所による鹿角市の大湯温泉地区観光拠点施設の着工を控える。

◆山形県 県立新庄病院改築で基本構想
 県は春にも改築する県立新庄病院の基本構想委託手続きに着手する。改修する県立図書館はTRC(図書館流通センター)・イリアJVに委託している基本計画をまとめる。また、本間利雄設計事務所に委託している山形駅西口拠点施設は、工事費の予算も要求している。
 新庁舎を整備する尾花沢市は、実施設計(羽田設計事務所)を3月までに完了させ、工事の発注を目指す。酒田市は1月中に酒田駅周辺エリア整備区域の市街地再開発事業者の公募手続きを開始する。再開発コーディネート業務はアール・アイ・エーが担当した。
 
◆福島県 JヴィレッジDBも検討
 県電源地域振興財団は、Jヴィレッジ再整備の基本設計(梓設計)を3月中に完了させる。DBの採用も検討しており、早ければ今春にも公募手続きに着手したい考えだ。
 県と郡山市が進めている新県郡山合同庁舎整備は、早ければ3月にも両庁内で基本構想をまとめる。福島市も同月にコンベンション施設整備基礎調査(オリエンタルコンサルタンツ)の結果を踏まえ、基本構想の策定を目指す。
 統合庁舎整備を計画している会津若松市は、3月にも基本計画の策定準備を開始する。須賀川市は、年明け早々にも市民交流センター(設計=石本建築事務所と畝森泰行建築設計事務所)の工事発注手続きに着手する予定だ。
 日本赤十字社は、福島赤十字病院施設整備事業の本体建築工事(設計=日建設計)を年内に発注する予定だ。
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