清水建設は、汽水域の水面を緑化する植生浮島の提案を進める。東京都内で2010年から実施してきた実証実験で、カルガモの産卵や昆虫の生息などが確認できたため実用化する。水辺の景観対策、生物多様性の保全につながる施設として、湾岸域などの開発や再生事業などに提案していく方針だ。
都市内の河川や運河の多くは、淡水と海水が混じり合う汽水域だが、従来の植生浮島は淡水域に対応していなかった。一方、都市内河川は直立護岸が多いため、維持管理の難しさも課題となる。
同社が開発した浮島は、木材や樹脂を浮力材料とし、軽量土壌や熱融着土壌などを使う。その上に耐塩性の高いハマボウやヨシなど在来種の植物19種を植え、飛散防止・固定化のため土壌表面をメッシュ金網で覆っている。
実証実験は東京都中央区の協力を得て、同区佃の石川島公園船溜まりで実施。10年と11年に異なる浮力材料を使用した植生浮島を3基ずつ設置し、長期の調査を進めてきた。
この結果、浮力材料に劣化や破損がなく長期的に使用できることや、カルガモなどの鳥類や昆虫類の生息により生物多様性が向上することが分かった。軽量土壌と熱融着土壌の保水性の高さから潅水の手間が少なく、透水性も高いため塩分が蓄積しにくいことも確認できた。
実験後の植生浮島は廃棄予定だったが、近隣住民から親しまれていたため、中央区に譲渡して継続利用することになった。
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