A 熊本地震への対応は連日、紙面で紹介しているが、現地の様子はどうだろうか。
B 今回の地震で驚かされたのは震度7の大きな地震が続けて発生したことだろう。ただでさえ地震に対する免疫の少ない九州地区で、これだけの規模の地震が立て続けに発生するのは、まさに未曽有(みぞう)の経験だ。
(写真は16日未明に発生したマグニチュード7.3の本震の影響で、国の重要文化財「桜門」と拝殿が全壊した阿蘇神社)
C 14日夜の前震では被害が大きかったものの、まだ局地的なものだった。国道の路面が大きく陥没した熊本県益城町では、県の要請を受けて県建設業協会上益城支部が重機や燃料の手配、水や弁当の確保などに奔走し、15日から応急対策に取りかかった。ところが、16日未明の本震で状況が一変した。町内の建設業者も被災し、しばらく待機せざるを得なかったみたいだ。結局、県は国に協力を要請し、国と災害協定を結んだ県内業者が復旧作業を進めた。被災地を結ぶ幹線道路を1週間で開通にこぎつけたのは、地元にとって朗報だった。
B 本震発生により被害が大きく拡大し、斜面の大規模崩落や建物倒壊による人命の救助を最優先に、情報収集や飲料水の供給などライフラインの確保に追われている。まだ、震度4以上の余震が多発しており、被災者はもちろん、復旧に携わる人の精神的・肉体的な疲労も心配だ。
C 直下型の地震だっただけに老朽建物の倒壊被害も大きい。県は県内の設計団体などに協力を呼び掛け、応急危険度判定を進めているが、使用できない建物は今後も増えそうだ。中でも4階部分が押しつぶされた宇土市役所の姿が象徴的だ。今年度から委員会を設置し、建て替えに向けた検討を進める矢先だっただけに、余計に残念だ。八代市本庁舎も倒壊の危険があり使用できない。熊本市民病院や八代市立病院なども診療活動に支障を来している。これらも建て替えや耐震化が検討されていた施設だ。改めて防災拠点施設の重要性が浮き彫りになった。
A 被災地以外では何か特徴的な動きはあっただろうか。
D 建設コンサルタンツ協会関東支部が19日に総会を開いたが、懇親会に東日本高速道路会社などNEXCOからはだれも出席していなかった。当日の昼に急きょ欠席の連絡が入ったそうだ。国土交通省関東地方整備局や東京都からの出席者も、例年と比べ大幅に少なかったので、来賓の紹介がすぐに終わった。これから業界団体の総会シーズンが本格化するが、当面は行政からの出席者が減るかもしれない。
E 日本空調衛生工事業協会は20日に開いた理事会で、九州支部から現地の状況について報告を受けた。野村春紀会長は「建築設備について報道されていない」が、空調や水関係でも被害が出ていると言っていた。例えば、高架水槽が被災してビルで水が漏れていたり、病院では透析患者に対する水や水圧が足りなくて、自衛隊の支援を仰いでいたという。日空衛は、熊本県が会員に入っていない空白県のため、「情報がなかなか上がってこない」と嘆いていた。日本はどこでどんな災害が起きるか分からないので、全国にネットワークがあることが非常に重要だということが改めて分かった。福岡市にある九州支部からでも、被災地に入ることが難しいので、被害状況がつかみ切れていないということだった。
A これから梅雨や台風のシーズンを迎えるため、表層崩壊した土砂が土石流となって、新たな災害の危険性も高まる。時間との勝負になる中で、建設産業の果たす役割と貢献が期待されるところだ。
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B 今回の地震で驚かされたのは震度7の大きな地震が続けて発生したことだろう。ただでさえ地震に対する免疫の少ない九州地区で、これだけの規模の地震が立て続けに発生するのは、まさに未曽有(みぞう)の経験だ。
(写真は16日未明に発生したマグニチュード7.3の本震の影響で、国の重要文化財「桜門」と拝殿が全壊した阿蘇神社)
C 14日夜の前震では被害が大きかったものの、まだ局地的なものだった。国道の路面が大きく陥没した熊本県益城町では、県の要請を受けて県建設業協会上益城支部が重機や燃料の手配、水や弁当の確保などに奔走し、15日から応急対策に取りかかった。ところが、16日未明の本震で状況が一変した。町内の建設業者も被災し、しばらく待機せざるを得なかったみたいだ。結局、県は国に協力を要請し、国と災害協定を結んだ県内業者が復旧作業を進めた。被災地を結ぶ幹線道路を1週間で開通にこぎつけたのは、地元にとって朗報だった。
B 本震発生により被害が大きく拡大し、斜面の大規模崩落や建物倒壊による人命の救助を最優先に、情報収集や飲料水の供給などライフラインの確保に追われている。まだ、震度4以上の余震が多発しており、被災者はもちろん、復旧に携わる人の精神的・肉体的な疲労も心配だ。
C 直下型の地震だっただけに老朽建物の倒壊被害も大きい。県は県内の設計団体などに協力を呼び掛け、応急危険度判定を進めているが、使用できない建物は今後も増えそうだ。中でも4階部分が押しつぶされた宇土市役所の姿が象徴的だ。今年度から委員会を設置し、建て替えに向けた検討を進める矢先だっただけに、余計に残念だ。八代市本庁舎も倒壊の危険があり使用できない。熊本市民病院や八代市立病院なども診療活動に支障を来している。これらも建て替えや耐震化が検討されていた施設だ。改めて防災拠点施設の重要性が浮き彫りになった。
A 被災地以外では何か特徴的な動きはあっただろうか。
D 建設コンサルタンツ協会関東支部が19日に総会を開いたが、懇親会に東日本高速道路会社などNEXCOからはだれも出席していなかった。当日の昼に急きょ欠席の連絡が入ったそうだ。国土交通省関東地方整備局や東京都からの出席者も、例年と比べ大幅に少なかったので、来賓の紹介がすぐに終わった。これから業界団体の総会シーズンが本格化するが、当面は行政からの出席者が減るかもしれない。
E 日本空調衛生工事業協会は20日に開いた理事会で、九州支部から現地の状況について報告を受けた。野村春紀会長は「建築設備について報道されていない」が、空調や水関係でも被害が出ていると言っていた。例えば、高架水槽が被災してビルで水が漏れていたり、病院では透析患者に対する水や水圧が足りなくて、自衛隊の支援を仰いでいたという。日空衛は、熊本県が会員に入っていない空白県のため、「情報がなかなか上がってこない」と嘆いていた。日本はどこでどんな災害が起きるか分からないので、全国にネットワークがあることが非常に重要だということが改めて分かった。福岡市にある九州支部からでも、被災地に入ることが難しいので、被害状況がつかみ切れていないということだった。
A これから梅雨や台風のシーズンを迎えるため、表層崩壊した土砂が土石流となって、新たな災害の危険性も高まる。時間との勝負になる中で、建設産業の果たす役割と貢献が期待されるところだ。
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