2016/03/25

【記者座談会】建設職人社会振興議連が「安全・健康確保推進法案」提出へ 業界の反応は?


A 自民、公明両党で構成する議員連盟が、今国会に建設職人を対象にした法案を提出するようだが。
写真は自民、公明両党の国会議員280人が参加している議連の第7回総会で法案を決議、あいさつする二階会長(左)。

B 両党の国会議員280人が参加している日本建設職人社会振興議員連盟が、「建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律案」の成立を、今国会で目指している。労災保険料を含む安全衛生経費の確保や一人親方問題に対処するよう、特別に手厚い対策を国や都道府県などに求めるもので、最大の特徴は公共工事だけでなく、民間工事も対象にしていることだろう。
C 議連は、法制化作業チームを設置して、昨年5月から厚生労働省や国土交通省、ゼネコンなど業界団体からヒアリングをした。事前に関係者から意見を聞いているので、2月22日に開いた業界団体に対する法案の説明会では反対がなかったという。同チームの務台俊介主査は、今月15日の議連総会で法案を決議した際、「安衛則(労働安全衛生規則)でやるべきことを実現するためのエンジンとなる法律だ」と位置付けを説明した。
B 議連は、2013年に発足した「建設現場における墜落災害撲滅・安全足場設置推進議員連盟」が前身になる。名前が示すとおり、当初は足場からの労災撲滅が目的で、メンバーも自民党議員だけで60人だった。しかし、人手不足の問題が深刻化してきたこともあり、職人の安全確保だけでなく地位や名誉、所得など幅広く改善する必要があるという考え方に変わり、昨年、いまの名称に変更した。最高顧問は高村正彦自民党副総裁、会長は二階俊博自民党総務会長が務めるなど大物が名を連ねている。
A 業界側の反応はどうか。
D 与党の議員で構成する議連のため、反対していると思われないように、非常に対応に気をつかったようだ。議連に呼ばれれば、団体の幹部が足を運んで意見を表明するなど丁寧に対応していた。特に、具体的に負担が発生しないか、注視してきた。今回の法案は基本法で、適正な金額と工期での契約や作業員の安全と健康の確保など理念的な内容になったので、とりあえずはほっとしているというのが本音だろう。各業界団体は、今後も動向を見守るという姿勢を続けると思う。
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