東北地方整備局が復興道路に位置付けて整備を進めてきた三陸沿岸道路「吉浜道路」(長さ3.6㎞)が、11月29日に開通した。国道45号の交通難所、羅生峠区間の急カーブ・急勾配区間を回避でき、重大事故の減少や救急医療支援を始め、安全・安定した通行を確保することにより、早期復興に寄与することが期待される。
吉浜道路は、岩手県大船渡市三陸町越喜来の三陸インターチェンジ(IC)から同吉浜の吉浜ICまでの区間。主要構造物の施工は、吉浜トンネル(長さ1644m)と越喜来高架橋下部工が清水建設・青木あすなろ建設JV、同高架橋上部工(PC6径間連続ラーメン箱桁、長さ584m)と吉浜高架橋上部工(同、長さ373m)は川田建設・安部日鋼工業・日本高圧コンクリートJVが担当した。
開通効果として特に期待されるのが、重大事故の減少だ。同地区を結ぶ既存の国道45号区間は約8割が線形不良個所で、交通事故の過半数が正面衝突となっている。この隘路の解消により、通行の安全性が確保できるとともに救急医療も支援する。隣接する釜石市からの管外救急搬送のうち約4割は、3次救急医療機関の県立大船渡病院に搬送されており、今回の開通で所用時間が5分程度短縮される。また急カーブ・急勾配区間を通らないことで、安全に搬送できるようになる。
このほか海産物の鮮度保持・品質向上や、地域産業および観光産業の復興支援、緊急輸送道路の信頼性確保など幅広い効果が期待される。
吉浜IC付近で開かれた式典には、石井啓一国土交通相や徳山日出男国交事務次官、川瀧弘之東北地方整備局長、戸田公明大船渡市長、達増拓也岩手県知事らが出席。関係者によるテープカットやくす玉開披、パレードなどが行われ、地域の未来を切り開く同道路の開通を盛大に祝った=写真。
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