東北地方整備局が、震災復興のリーディングプロジェクトとして整備を進めている三陸沿岸道路・野田久慈道路の一部をなす、国道45号白井地区道路工事の安全祈願祭が13日、岩手県普代村の現地で開かれた。2018年3月末の完成を目指す。施工は鹿島が担当している。写真は祈願祭で披露された伝統芸能「鵜鳥神楽」。
野田久慈道路は、普代村から久慈市新井田の久慈インターチェンジ(IC)を結ぶ延長約25㎞の自動車専用道路。白井地区道路工事は、区間内4カ所のエリアに分散して行われる飛び工区となる。
このうち普代地区では長さ2058mの白井トンネルを築造するとともに、力持高架橋下部工(橋台2基、橋脚2基)と、掘削工12万m3を含む道路改良工事を施工。野田地区では野田IC橋下部工(橋台1基、橋脚5基)とONランプ橋・OFFランプ橋(橋台4基)、掘削工27万m3を含む道路改良工事を実施する。総延長は約4㎞になる。
各下部工工事にはことし6月から着手しており、今回、白井トンネルの本格着工にあわせて工事全体の安全祈願が行われた。順調にいけば、トンネルの貫通は17年夏になる見通しだ。
この日の神事には、永井浩泰東北地方整備局三陸国道事務所長、柾屋伸夫普代村長、太田貴博鹿島執行役員東北支店副支店長らが出席。代表者9人による鍬入れが行われ、1日も早い工事の完成と安全を祈った=写真。
代表者9人による鍬入れ |
このあと、永井所長が「野田久慈道路の工事が着々と進んでいる中、最も長い長大トンネルの白井トンネルの着工は、事業が大きく前進するものだ」と話し、柾屋村長も「1日も早い供用を村民が心待ちにしている。工事が加速し、順調に進むことを期待しながら地元としても全力で協力していく」と期待を寄せた。
これを受けて太田副支店長は「身の引き締まる思いの中でこれから始まる工事の安全施工をお誓いした。施工に当たっては発注者のご指示や地元の皆さんの熱いお気持ちを受け止め、当社の持てる力をすべて注ぎ込んで取り組んでいきたい」と決意を述べた。
会場では、地元に伝わる伝統芸能で、国重要無形民俗文化財の「鵜鳥神楽」も披露された。
國谷光弘所長(鹿島)の話「事業促進PPP山田宮古工区の管理技術者として川上業務に携わり、今回、実際の工事に従事できることを光栄に思っている。4カ所に点在して合計4㎞の工事を行うこと、また工種が多いことから、連携して工事を進めていきたい。施工させていただいているという謙虚な姿勢で臨み、無事故・無災害を目指していく」
■摂待第1トンネル貫通 施工=大成JV
東北地方整備局が復興のリーディングプロジェクトとして整備を進めている三陸沿岸道路・田老岩泉道路の主要構造物となる摂待第1トンネル(長さ1355m)が待望の貫通を迎え、16日に岩手県宮古市田老地区の現地で式典が開かれた。施工は大成建設・錢高組・東日本コンクリートJVが担当。同第2トンネル(長さ1772m)と同大橋上部工(長さ234m)なども築造する。2017年度の開通を予定している。
田老岩泉道路は、宮古市田老から岩泉町小本を結ぶ約6㎞の自動車専用道路。現道の線形不良と津波浸水区間を回避することで、救援物資の輸送拠点となる久慈港と宮古市間のアクセス性向上や救急医療施設への速達性向上などの効果が期待される。
今回貫通した摂待第1トンネルは幅12m、内空断面積は87.5㎡で、14年10月に掘削を開始。NATMによる補助ベンチ付全断面工法などで掘り進めた。同道路に計画している3本のトンネルのうち、2本目の貫通となる。
■七ッ窪トンネル貫通 施工=飛島建設
東北地方整備局が復興支援道路に位置付けて整備を進めている、相馬福島道路・霊山道路の主要構造物となる「七ッ窪トンネル」(長さ1404m)が待望の貫通を迎えた。13日には福島県伊達市霊山町の現地で関係者や来賓出席のもと式典が開かれた。施工は飛島建設が担当。2017年度の開通を目指す。
相馬福島道路は常磐自動車道と東北自動車道を結ぶ約45㎞の自動車専用道路で、このうち霊山道路は伊達市内を通過する約12㎞の路線となる。
今回貫通した七ッ窪トンネルは、霊山道路に築造される7本のトンネルのうち最も長い。NATMによる掘削開始は13年9月。断面が100㎡超と大きいため、3ブーム2ケージドリルジャンボや25t重ダンプなどを使用し、効率よく施工した。
吹き付けコンクリートには、原町火力発電所で発生した石炭灰を細骨材やセメントの一部として活用し、耐久性向上と環境負荷を低減した。覆工コンクリートでは流動性・材料分離抵抗性に優れた中流動コンクリートを採用した。
式典では貫通点を清めた後、関係者による貫通握手の儀や鏡開き、地元の石田小学校児童による祝い歌などが行われ、最後に全員で万歳三唱した。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら
0 コメント :
コメントを投稿