2016/11/23

【前田建設】施工BIMの生命線に! 初めて取り組む専門工事会社との「BIMモデル合意」プロジェクト


 「BIMモデル合意の流れを整理できた」。前田建設の曽根巨充TPM推進グループ長は、東京・新橋で施工中の中小規模オフィスビルの成果を、こう表現する。既に現場の1割にBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を導入する同社は、3次元モデルを見ながら専門工事会社と図面類の細かな部分を協議するBIMモデル合意を、施工BIMの“生命線”に位置付けている。「2020年度には最低でも5割の現場に拡大させたい」と意気込む。写真は所長クラスを対象に開いた施工BIM研修会

 「あえて標準的な工事を選んだ」と曽根氏が説明するように、BIMモデル合意に取り組んだのはS造7階建て延べ3500㎡の中小規模プロジェクトだ。17年1月の竣工に向け、仕上げの最終段階を迎えている。現場を指揮する赤池修所長は「主要な工種に絞り、手探りで進めてきた」と振り返る。
 モデル合意は、施工BIMの効果的な手段の1つだが、その実現には専門工事会社の協力が欠かせない。この現場では鉄骨、鉄骨階段、機械設備、エレベーター、外装サッシ、電気設備、鋼製建具・シャッターの7工種に協力を求めたが、どの専門工事会社もBIMに取り組むのは初めて。まさに「ゼロからのスタート」(赤池所長)だった。
 現場の打ち合わせ風景は、大きく変わった。通常は現場の施工図担当が個別の専門工事会社とやり取りしながら、細かな部分の納まりを調整するが、BIMモデル合意では各工種が一堂に会し、持ち寄った3次元モデルを統合して干渉部分などを共有する。調整会議の場に紙図面はなく、参加者は画面に映し出されたBIMモデルを見ながら改善点を確認し合う。
 この話し合いを経て、図面の具体的な調整を行う流れになり、従来に比べ打ち合わせ時間の短縮に加え、図面作成の早期化にもつながる。「図面確定までの工程は従来より2、3割短縮できた」と赤池所長は手応えを口にする。専門工事会社にとっても関連工種との取り合い調整をモデルを見ながら確認できるため、図面確定までの手戻りを減らす効果が生まれる。

BIMモデル合意に取り組んだ現場の統合モデル

 工種ごとの3次元モデルデータは、着工後すぐに開かれるキックオフ会議を経て、それぞれの専門工事会社が2次元図面データを元に作成する。2週間ほどで提出され、これを使って現場は調整会議を開く流れとなる。曽根氏は「一定のルールが示せれば、モデル合意のハードルは低くなる。これからの現場打ち合わせは、図面からモデル先行型へと移行するだろう」と強調する。現在は干渉チェックリストの枠組みを固めるなど、現場がBIMモデル合意に取り組みやすいように社内ルールを構築中だ。
 稼働中現場の1割にBIMを導入している同社は、施工BIMの優位性を発揮する有効な手段として、専門工事会社を巻き込んだモデル合意の定着に乗り出す。所長クラスの士気を高めるため、社内の施工BIM研修会もスタートさせた。TPM推進グループの藤井周太主任が「モデル合意を含め、まずは施工BIMを体感してもらうことが先決」と説明するように、京都市内で施工中のBIM導入現場で開いた第1回会合には、全国から17人が参加した。
 20年度までには、施工現場の5割以上にBIMモデル合意を拡大させる青写真を描く。「現場は立ち止まれない。現場のリズムを壊さずに向き合える流れがBIMの定着には重要になってくる」という赤池所長は、次に担当する現場でもモデル合意を取り入れる予定だ。社内のBIM推進を先導する曽根氏は「一般的なプロジェクトだからこそ、BIMを最大限に活用できる。共通の仕組みを早急に確立したい」と先を見据える。
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