2017/02/26

【モデリング】主要BIMデータを超高速レンダリング! VR、施工管理にも対応「FUZOR」


 レッドスタックジャパン(川崎市、油谷勝社長)が提供するビジュアルシミュレーションツール「FUZOR(フゾー)」が、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ワークフローの改善ツールとして注目されている。独自の3次元ゲームエンジンが、BIMモデルを高画質で表現するとともにデータ変換・更新などの超高速処理も実現する。充実したワークシェアリング機能がBIMプラットフォームとして関係者間の協業に貢献し、特に大規模プロジェクトで評価を高めている。

 FUZORの最大の特徴は、『Revit』『ArchiCAD』など主要BIMソフトや、『SketchUp』『Rhinoceros』などのモデリングツール、GIS(地理情報システム)や点群も含め多様なデータを「ライブリンク」機能で読み込み、超高速リアルタイムレンダリング機能でFUZORデータとして再現することだ。通常なら半日や1日がかりのファイル変換・更新をわずかな時間で行うとともに、FUZOR上の修正内容は即座にオリジナルモデルに反映される。
 望月亮治エグゼクティブセールスマネージャーは「データが大きくなるほど処理速度が遅くなり、作業効率が低下する。FUZORの高速処理技術がこうした問題を解決するため、大規模データを扱うプロジェクトで効果を発揮している」と説明する。
 関係者の協業を促進するツールも充実している。ワークシェアリングコラボレーション機能は、グループ内で分割してひとつのモデルを作成する。個別のソフトで作業したデータをFUZORで読み込み、サーバー上の共有BIMモデルを更新する。作業した差分だけをメインモデルに反映させるため、ネットワーク環境のぜい弱な現場でもBIMモデルを更新することが可能だ。
 ワークシェアリングにはiPadなどタブレット端末でも参加できる。タブレットにダウンロードしたモデルで顧客や関係者と協議し、修正個所に注釈を付ける。サーバーを介して注釈を受け取り、設計者がリアルタイムで修正する。写真や動画、手書きメモのスクリーンショットなども添付できる。
 リアルタイムP2Pコラボレーション機能は、ウォークスルーで複数人が同時にBIMモデル内を移動し、顧客や関係者内での情報共有を向上させる。それぞれ修正個所に注釈を付けたりチャットや電話でタイムリーに情報交換しながら対話型のレビューを行う。BIMモデルへの修正や変更も、リアルタイムで参加者全員の確認が可能だ。
 ビジュアライゼーションを随時バージョンアップしており、照明イメージの確認や日照、降雨・降雪などの天候シミュレーションの機能を向上させている。3次元地図データと融合して面的に検証することもできる。
 バーチャル・リアリティー(VR)にも対応し、HMD(ヘッドマウントディスプレー)や、移動や日時・天候の変更などを行うコントローラーで3次元モデルをリアルに体感する。「建築の素人でも“見た目”で判断できる。具体的なデータはその後に落とし込む」ことで顧客目線での検討をサポートする。

ダムの現場でも活用されている

 施工段階では、時間軸を加えた4D機能の「FUZOR VDC」がBIMをサポートする。工程表とアニメーションの融合により、時間軸に沿って仮設や重機、建築などの3次元モデルが動く施工ステップを作成し、工程や安全管理に役立てる。「天候やトラブルで工程が変わってもモデル内で再構築する。クレーンなど重機の動きや車両の配置を見える化するため、想定した工程が実現可能か判断できる」ため、工程管理専用のファイルを作成して活用する事例が増えているという。
 建築のほかダムなどの土木事業、プラントや製造設備などでも利用が進む。最近は3次元化が先行する製造業からの引き合いが増え、製造ラインの3次元モデルと建築のBIMモデルの融合にFUZORが利用されている。
 2017年に入り、東京オリンピック工事、都心での大規模開発を控えて大手数社から大量使用の導入相談の案件も増えるなど、活躍の場を広げている。
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