2014/03/27

【命の道】高田道路が全線開通 陸前高田市、大きな一歩踏み出す

全線開通を祝いテープカット
震災の津波により中心市街地が壊滅した岩手県陸前高田市。その津波浸水区域を回避した“災害に強い”交通ネットワークを形成する三陸沿岸道路「高田道路」が23日に全線開通した。翌24日には住宅の高台移転と連携したかさ上げによる被災市街地の再生を加速させる巨大なベルトコンベヤーが土砂搬送を開始。甚大な被害からの本格復興へ確かな一歩を踏み出した。
◆高田道路が全線開通
 高田道路は復興のリーディングプロジェクトに位置付けられている三陸沿岸道路を構成するもので、岩手県陸前高田市竹駒町字相川の陸前高田インターチェンジ(IC)から大船渡市大船渡町字下船渡の大船渡碁石海岸ICに至る7.5㎞の区間。このうち今回、陸前高田IC~通岡IC間の4.1㎞が開通。既に開通済みの通岡IC~大船渡碁石海岸ICと合わせて全線供用を開始した。
◆市庁舎近くにIC設置
 これにより震災時には寸断された国道45号の代替ルートを確保するとともに、現在高台にある市庁舎に近接して陸前高田ICが設置されたことで市庁舎周辺での公共施設整備や商業施設の集積など、新たな都市機能の充実強化を促進することが期待される。
 また、現道の急カーブ、急勾配個所をすべて解消することで現在市内からの救急搬送の約9割を受け入れている県立大船渡病院への迅速・安静な救急搬送が可能となる。災害時の孤立を防ぎ、地域間連携・交流の促進や産業振興など復興加速化に大きく貢献する。
 23日に行われた開通式には国土交通省の徳山日出男道路局長、小池剛東北地方整備局長、達増拓也岩手県知事、戸羽太陸前高田市長、戸田公明大船渡市長ら関係者約350人が出席。「命の道」の完成を祝うとともに、三陸沿岸道路の1日も早い全線開通に一丸となって取り組むことを誓った。

気仙川から架かる専用のつり橋は地元小学生から
「希望のかけ橋」と名づけられた
◆巨大ベルトコンベヤー稼働
 一方、都市再生機構が市から受託して取り組んでいる被災市街地復興整備事業のさらなるスピードアップに向け、ベルトコンベヤーによる土砂搬送開始式が24日に行われた。住宅を高台に移転する今泉地区土地区画整理事業(施行区域41.6ha)に伴い発生する土砂を、旧来の中心市街地である高田地区の土地区画整理事業(14ha)でのかさ上げに活用するもので、約640万m3もの土砂搬送を1年2カ月で完了させる。
◆1日2万m3の盛土搬送
 今泉地区から気仙川や国道45号を横断し旧市街地に土砂を搬送するベルトコンベヤーは全長約3㎞。現時点では気仙川河口の仮置き場までの約1.1㎞が完成しており、7月には全体完成する。1時間当たりの搬送能力は6000m3。1日2万m3の土砂搬送が可能という。15年5月までの搬送完了を予定している。同事業は調査・測量から設計、施工までの一体的業務を清水建設・西松建設・青木あすなろ建設・オリエンタルコンサルタンツ・国際航業JVがCMR(コンストラクション・マネジャー)として担当している。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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